(90)かくれ岩(江津)

岩根神社近くの住宅街にある「かくれ岩」
ムナスキヒメ伝説残る

 江津市嘉久志(かくし)町の地名の由来となった「かくれ岩」が、同町の岩根神社近くの民家に囲まれた場所に、ひっそりと安置されている。人が1人分隠れることができる程度の大きさで、地元にはかくれ岩にまつわる伝説が残る。岩の前に立つ案内板が、伝説の内容を紹介している。

 神代の昔、箱舟に乗った美しい童女が江津の「波子の浦」に流れ着き、それを見つけた老夫婦が引き取り、慈しみ育てた。成長した娘はある日、自分は出雲の国の神の子「ムナスキヒメ」であり、「国難を鎮めるため、出雲の国に帰る」と老夫婦に告げる。

 娘は、止める老夫婦を振り切って国に帰る途中、追ってきた2人の目から逃れるため、岩の陰に身を隠し、国に戻って国難を鎮めた。以来、人々は娘が隠れた岩を「かくれ岩」と呼び、あがめたという。現在も、地域の人たちが大切に守り続けている。

 嘉久志町を拠点に活動する「嘉久志神楽子ども会」は、伝説を基に創作したオリジナル演目「隠れ岩」を保持している。4月上旬には結成45周年を記念した神楽発表会を町内で開き、特別出演した同会のOBやOGが披露。華麗な舞で地域の人たちを楽しませた。


2017年4月13日 無断転載禁止