レッツ連歌(下房桃菴)・4月13日付

挿絵・麦倉うさぎ
 この前お知らせした「石川兄弟三人展」、私も行ってきました。そのとき、レッツの常連さん数人とお会いできたのですが、お茶をいただきながらの雑談に、「金沢から新人のかたが入選されましたね」「そうそう、あの四〇億光年!」

 ほんとうは杏花さんは、私どもの古くからの仲間で、大ベテランなのですが、それはともかく、みなさん、人の作品もよく見ておられるんだなと、正直、びっくりいたしました。嬉(うれ)しいことです。

                ◇

 勝ち目なき喧嘩(けんか)も時に受けて立ち

傷つく前に潔く散る      (松江)土江 ユミ

だれに似たやらよく回る口   (出雲)杉原 良子

モテぬ兄貴にチョコを取られて (松江)三島 啓克

マスク眼鏡で花粉対策     (出雲)石飛 富夫

風車に挑む中世の騎士     (江津)星野 礼佑

みんな知ってるカメさんの歌  (浜田)玉田 秀子

猫だましでもやってみようか  (川本)高砂瀬喜美

十度に一度妻に反論      (松江)持田 高行

つい口に出て引き返せない   (浜田)山崎 重子

年に一度の確定申告      (浜田)三隅  彰

ライオン睨(にら)んで水牛の群れ   (松江)田中 堂太

五分の魂奮い立たせて    (奥出雲)松田多美子

北方領土は波のかなたに    (雲南)安部 小春

猫パンチには犬も驚き     (浜田)松井 鏡子

高崎山はエサの取り合い    (浜田)勝田  艶

プライドに火を付けたライバル (江津)江藤  清

偉人の伝記はどこか退屈    (松江)山崎まるむ

やるときはやるオレの人生(埼玉・所沢)栗田  枝

甘いにおいの養護の先生    (益田)石田 三章

すぐにリセットボタン押すクセ

            (沖縄・石垣)多胡 克己

泣き出すほうに味方する母   (松江)岩田 正之

太閤殿下の遺志を引き継ぎ   (松江)植田 延裕

記憶にないと言っとけばよい  (益田)吉川 洋子

しどろもどろの国会答弁  (益田)おおいこうすけ

ミヨちゃん泣いて放っておけるか(江津)花田 美昭

きょうはなかよく巣立つ学舎  (雲南)妹尾 福子

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 克己さんの句は、もと「負けるとすぐにリセットボタン」とあったのですが、これでは下七が4・3と切れるので、勝手ながら直させていただきました。

 下七が4・3と切れるとなぜダメなのか。このことについては、さるかたから、最近お尋ねをいただきました。

 これまでにも何度か申しておりますが、大事なことなので、改めてお答えしておきます。

 どどいつは、俗に七七七五音から成るといわれますが、詳しくいえば、

  こいに・こがれて なくせみ・よりも

  なかぬ・ほたるが みをこがす

のように、七(3・4)七(4・3)七(3・4)五(5)が基本です。また、各地の民謡も多くは、

  めでた・めでたの わかまつ・さまよ

  えだも・さかえて はもしげる

のように、まったく同じ構成になっております。

 この「なくせみ・よりも」や「わかまつ・さまよ」が4・3なのですが、このリズムは、あとにさらに句が続くときに使われるリズムです。

 それが証拠に、伝統的な短歌(たとえば「百人一首」)の第五句が4・3で終わることはまずありません。同じ理由で、連歌の七七句の下七が4・3に切れると、まだなにか言い残したような、落ち着かない感じになるものです。

 もっとも、リズム感というのは、人によって異なります。下七の4・3をぜんぜん気にしないかたも大勢いらっしゃいます。その意味では、私個人の好みの問題だとご理解ください。

               ◇

 次は、

  ふり返らずに走り続ける

に付ける長句(五七五)をお願いします。

(島根大学名誉教授)

2017年4月13日 無断転載禁止

こども新聞