世事抄録 逃げ恥の核禁止条約不参加

 国連で3月末に展開された核禁止条約の制定交渉に日本は不参加を表明し、世界から失望と非難の怒号を浴びた。法的に核兵器を禁止する初めての条約。米国など核保有国が反発する中、唯一の被爆国ながら米国の「核の傘」の下にあるだけに、核軍縮は保有国と非保有国の協力が不可欠だから「建設的で誠実な形で交渉に参加することは困難」と“逃げ恥”を決め込んだ。許せないと思う。

 それにしても核問題にはミエミエのうそ、へ理屈が長年まかり通っている。ノーモア・ヒロシマを訴える一方、米ソ冷戦のころ支持する陣営の核ミサイルは「良い核」だと強弁し、原発を「核の平和利用」「地球温暖化防止の切り札」ともてはやしてきた。

 もともと原子炉は原爆材料のプルトニウム製造のため米国シカゴで誕生し、やがて長崎を焼き尽くす。高速増殖炉「もんじゅ」をはじめ日本の核燃料サイクル事業は、潜在的な核武装の欲求を秘めて存続してきた。そして膨大な戦費が昔から武器商人のもうけの源泉だったことを知れば、歴史は別の顔になる。いまアベノミクス破綻の陰で、起死回生策に原発・武器輸出が推進されていることを見落としてはならない。

 既に化学兵器やクラスター爆弾は国際法で禁止されている。北朝鮮の暴走などを口実に核兵器を容認するとすれば、子孫に重いツケを残すことになる。

(松江市・風来)


2017年4月13日 無断転載禁止