米朝対立と日本外交/対話による解決へ努力を

 核・ミサイル開発で挑発を続ける北朝鮮に対し、トランプ米政権が軍事力行使も選択肢とする構えを示し、空母を中心とする艦隊を朝鮮半島付近に向けて移動させるなど圧力を強めている。

 米国の狙いは、北朝鮮に自制を求めるとともに、影響力を持つ中国に具体的な行動を促すものともみられる。だが事態を不透明にしているのは、圧力に反発した金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が暴走する恐れがないか予測できないためだ。さらにもう1人のキーマンであるトランプ大統領も、これまで否定的だったシリア攻撃に転換したように、その出方が予測できない。

 しかし米国が北朝鮮を攻撃すれば「在日米軍基地がミサイル発射訓練の攻撃目標」と言明している北朝鮮の報復攻撃などで日本も甚大な被害を受ける。取り得る選択肢は、外交的な解決の道しかない。

 米国の圧力を軍事力行使ではなく、北朝鮮と日米韓中ロの6カ国協議の再開など対話の場へとつなげていくよう日本政府はあらゆる努力を尽くすべきだ。

 北朝鮮情勢に関連し、安倍晋三首相は自民党役員会で「いかなる事態になっても国民の生命と平和な暮らしを断固として守り抜く決意だ」と強調した。しかし有事の際に日本ができることには限界がある。

 米国は北朝鮮対応について事前に日本と協議すると伝えたという。当然である。首相はトランプ氏と「個人的な信頼関係を確立した」と自負する。そのパイプを生かし軍事的な選択肢は取り得ないことを米側に強く説くのが日本の責務だろう。

 北朝鮮は15日に故金日成(キムイルソン)主席生誕105年、25日に朝鮮人民軍創建85年という重要な日を迎え、国威発揚のため核実験や弾道ミサイル発射などの挑発に出る恐れが指摘される。米本土を狙う大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発も公言する。

 これに対してトランプ氏は先の安倍首相との電話会談で「安全保障上の重大な脅威」との認識を確認し、「全ての選択肢がテーブルの上にある」と軍事力行使を辞さない構えを示した。

 朝鮮半島付近に派遣する原子力空母カール・ビンソンを中心とする艦隊は圧倒的な攻撃力を持つ。シリア攻撃に続く米国の行動は北朝鮮への警告の狙いがあろう。日本政府は「地域の平和と安定にとって米国の抑止力は不可欠」と評価。安倍首相は北朝鮮が猛毒のサリンを弾頭に付けたミサイルを着弾させる能力を保有している可能性を指摘、危機感を強調する。

 しかし抑止力は相手が理性的な判断をすることを前提とした考え方だ。「強硬に立ち向かう」と反発する北朝鮮が暴発する事態に至らないよう細心の注意が求められる。海上自衛隊は原子力空母と共同訓練の実施を検討しているが、緊張をいたずらに高めない配慮が必要だ。

 中国の習近平国家主席はトランプ氏との電話会談で「平和的な問題解決」の必要性を強調した。北朝鮮は先の最高人民会議で「外交委員会」を復活させ、孤立を打開するための外交戦略に乗り出す可能性が指摘される。こうした動きを対話につなげる機会と捉え、日本も関係国への働き掛けを続ける必要があろう。

2017年4月15日 無断転載禁止