先にやるべきことがある

 翌日に謝罪し、撤回したとは言うものの、あきれる発言が地方創生担当大臣の口から飛び出した。「一番のがんは文化学芸員」「この連中を一掃しないと駄目」などと述べたという▼本人は「学芸員の方々に観光マインドを持ってもらう必要があるという趣旨だった」と釈明しているが、つい口が滑った程度ではなさそうだ。二条城(京都)や大英博物館(英・ロンドン)の取り組みを例示しての発言だからだ▼外国人観光客に対する文化財の説明や案内の必要性は分かるが、その対応が不十分な責任を、学芸員に押し付けたように聞こえる。もっと観光、つまりおカネにつながる働き方をしろと言いたいのか。地方の博物館や美術館が置かれている状況を、どこまで理解しているのか疑いたくなる▼学芸員は英語でキュレーターと言うそうだ。そして、その言葉から派生したのがネット上の「キュレーションサイト」。いわゆる「まとめサイト」のことで、健康などの分野で、とんでもない情報を流していて問題になったのは記憶に新しい▼安いカネで外部ライターに原稿の執筆を任せ、中身の正確さよりも利益最優先で突っ走った結果が招いた、いい反面教師に思える。何でもかんでも学芸員にかぶせてしまえば、似た状況に追いやらないか▼地方創生担当の大臣なら、責任を押し付けるよりも先にやるべきことがあるはず。それは、地方の博物館や美術館の台所事情を考え、国際化対応に必要な案内表示やガイドなどに特別予算を組むことだ。(己)

2017年4月19日 無断転載禁止