水平線の向こう

 地形的な特性の影響があるのか、石見地方の沿岸部でカーラジオを聴こうとすると、AM放送では自動検索機能がNHKや山陰放送より先に、韓国語の放送を拾ってしまう▼昼間に強い放送波を受信できる4局を周波数から調べると釜山(プサン)、大邱(テグ)(2波)、江陵(カンヌン)(江原道)のいずれも韓国放送公社(KBS)で、日ごろの勉強不足から部分的にしか理解できないが、頻繁に「北韓(プッカン)」(北朝鮮)という単語を読み上げ、北朝鮮情勢で危機迫る様子が感じ取れる▼夜になると、電波の到達距離が伸びる特性から北朝鮮の対外向け朝鮮語放送「平壌放送(ピョンヤンパンソン)」を受信できるようになり、男性アナウンサーが威圧するような口調で米国の空母派遣を激しく非難している▼平壌放送では、昨年6月から3桁のページや番号を読み上げる「遠隔教育大学の復習課題」と題した番組が始まり、KBSニュースによると、今月14日未明に新しい内容の「復習課題」を読み上げ、ラジオを通じて外国にいる工作員に何らかの暗号指令を送った可能性があるという▼朝鮮戦争が休戦状態の韓国では、かなり以前から平壌放送に妨害電波をぶつけて聴取できないようにしているほか、沿岸部には鉄条網付きのフェンスを設置して兵士が監視し、厳戒態勢を敷いている▼水平線の先には米空母艦隊が展開し、核とミサイルで威嚇する北朝鮮と対峙(たいじ)するが、自衛隊の駐屯地がなく、長い海岸線が続く石見地方や国境離島の隠岐が防衛の空白地帯という現状は、あまりに無防備過ぎる。(釜)

2017年4月20日 無断転載禁止