日米経済対話/相互恩恵の姿勢を貫け

 来日した米国のペンス副大統領と麻生太郎副総理兼財務相による日米経済対話の初会合が開かれ、「貿易・投資ルール」など3分野を柱に今後議論していくことで合意。会合後に記者会見したペンス氏は、将来的に日米自由貿易協定(FTA)交渉へ進むことに意欲を表明した。

 初会合がテーマ設定以上の議論とならなかった点は、米政権の陣容が整っていないことから十分予想できた。むしろ米側の本音として警戒すべきは、対日貿易赤字の是正や市場開放のための2国間協議をうかがわせるペンス氏の発言であろう。

 日本にとって今後肝心なのは、自国の利益実現へ対話の場を2国間交渉に変質させようとする米側のペースに乗らず、相互の恩恵を目指して議論を尽くすことだ。

 これまでトランプ米大統領からは、日本企業による米国での投資や雇用創出、そして日本における自動車分野の市場開放などについて理解を欠いていると疑わせる発言が出ている。この認識をベースに米国が日本へ要求をぶつけてきても、双方に実りのある結果は期待できない。

 経済対話を率いる麻生氏をはじめ日本の関係閣僚は、両国の信頼を強め成果を上げるためにも、双方の理解深化に力を注いでもらいたい。

 日米経済対話は安倍晋三首相が2月に訪米した際、大統領との首脳会談で合意した。トランプ氏が「米国第一」を掲げ2国間交渉で問題解決に当たる姿勢を示しているため、その趣旨に沿う話し合いの枠組みとしつつ、テーマ設定や議論の進め方で米側の要求をかわす日本側の狙いが込められた。

 米国の機先を制して提案した枠組みには具体的に、貿易分野はアジアでのルール作りなどを議論の柱とすることにより、日本に不利となりかねない日米FTAや自動車・農産物の市場開放を封じる思惑があった。

 その初会合では(1)貿易・投資ルール(2)経済・構造政策(3)分野別協力-の3分野で協議していくことを確認。「近いうちに具体的な成果をもたらす」と盛り込んだ共同文書をまとめた。ただ具体論には触れずじまいとなり、ひとまず初会合は日本のもくろみ通りに終わったと言えそうだ。

 だが火種は残った。ペンス氏だけでなく、一緒に来日したロス商務長官も対日問題の打開へ2国間の協定交渉を望む考えを明確にしたからだ。

 対話に加わらず別行動をとったロス氏は安倍首相をはじめ、世耕弘成経済産業相、岸田文雄外相らと相次ぎ会談。岸田氏には「2国間協定に結び付くことを期待している」と明言した。安倍首相にも同様の意向を伝えたとみていいだろう。

 米国の本心がこちらにあるならば、2国間協定や市場開放の交渉を避けたい日本側との隔たりを埋めるのは容易でない。「対話」を提案した日本の作戦がうまくいくかは、予断を許さない状況だ。

 ペンス副大統領が今回、経済対話で踏み込んだ議論を意図的に避けた背景には、訪日目的の大きな比重が北朝鮮問題での連携確認にあった点を指摘しておきたい。

 この問題があったからこそ対話が表向き穏当に終始したが、年内に開かれる次回会合がそうである保証はない。

2017年4月20日 無断転載禁止