農業を守るという1点

 トランプ米大統領は、為替を材料に中国に対北朝鮮圧力を迫るなど、外交的にはタフなネゴシエーター(交渉人)ぶりを発揮する。しかし、経済分野で首が据わらず、世界に戸惑いを広げた▼何しろ、米政権内の通商政策が固まらず担当部局もあいまい。その代わり、使者を世界に派遣して、探りを入れる。トランプ氏が離脱を表明した環太平洋連携協定(TPP)では、麻生太郎副総理とペンス米副大統領の日米経済対話がやっと開かれた▼朝鮮半島情勢が緊迫化するこのタイミングで、まずは安全保障の日米同盟を再確認、ついでに「経済分野の協調も米国主導の2国間協定でいこう」という話の流れのようだが、それは都合が良すぎはしないか▼麻生氏は、両国の利益が「2国間ではTPPに届かない」と難色。米政権内からはこの機に農産物の日本へ輸出攻勢を掛けるべきだと物騒な声も聞こえるので、なおさら日本側は身構えざるを得ない▼米国が推進してきた貿易・投資の自由化と、トランプ氏のツイッター発言は真反対。各国首脳は真意を読みあぐねている。グローバル経済のゆがみを修正しようにも、古い枠組みの破壊だけが政治化されて、解決の出口を埋めてしまった▼日米両国は互いの投資で依存度を高める半面、米国の貿易赤字に対する日本の影響はごく小さくなった。ならば、多国間か2国間か協定の形はどうあれ「日本の農業を守る」という1点で交渉しても良いと思う。いや、むしろそう出るべきだと最近は思えてきた。(裕)

2017年4月22日 無断転載禁止