地味すぎる景気回復

 「ズルズル11年」「スター不在」はベストセラーとなっている呉座勇一著「応仁の乱」のキャッチコピー。それに倣えば、こちらは「ダラダラ52カ月」「けん引役不在」というところか。2012年12月から始まった景気拡大期間が今年3月で52カ月を迎え、戦後3番目の長さとなった▼期間は長いが、勢いは弱い。景気をリードする主役も目立たない。景気が良いのか悪いのかいまひとつはっきりせず、回復の実感が乏しいまま低空飛行の経済活動が続く。それでも落ち込んではいないため回復は回復というのが政府の見解▼12年12月といえば自民党が政権に復帰し、第2次安倍内閣が発足した時期と重なる。偶然といえば偶然だったが「陰鬱(いんうつ)な3年間」といわれた民主党政権時代に比べ「世の中の空気が随分明るくなった」と安倍晋三首相は当時胸を張った▼成長の勢いは別として景気の寿命だけを見ると02~08年まで73カ月が戦後最長。きっかけは円安誘導による輸出増だったが、全国的な景気回復の波に山陰両県は乗れなかった。小泉政権による構造改革で山陰経済を支える公共事業が大幅に削減され、地域経済は疲弊した▼その時と比べると、今回は山陰の景気は全国水準と肩を並べる。要因は公共事業が増えていることだ。鳴り物入りの金融緩和の陰に隠れて目立たないが、災害復旧や国土強靱(きょうじん)化など財政出動で地域経済が支えられている▼応仁の乱が「地味すぎる大乱」なら、山陰経済にとって地道なインフラ整備が将来を切り開く。(前)

2017年4月23日 無断転載禁止