松江市立来待小学校の取り組み 親子で新聞読み議論

 松江市宍道町上来待の市立来待小学校では、新聞活用を学校だけに止めず、家族で取り組むNIE「ファミリーフォーカス」を行っている。一つの記事を親子で読んで感想を書いたり、記事や写真を題材に親子でディスカッションする活動を展開。新聞を媒介にして、コミュニケーションが深まるなどの効果を生んでいる。

 同校がNIEに取り組み始めたのは2004年秋。ファミリーフォーカスは、家庭と連携した実践として昨年スタートした。

 ▼報道写真見て推理
今年2月、5年生の授業参観で、写真説明を伏せた報道写真を観察し、何の写真かを推理する「フォトランゲージ」に挑戦する保護者と児童たち=松江市宍道町上来待、来待小学校
 最初の取り組みは昨年2月、6年生最後の授業参観日。社会風刺画や「お小遣いの年俸制」について書かれた読者投稿を題材に、班ごとに親子でディスカッションした。

 小遣いの投稿をめぐっては、「月々の小遣いをもらった上で欲しい物を買ってほしい」「小遣いの中で欲しい物は買って」など、保護者と子どもの立場で活発な議論が。

 授業後、児童からは「新聞について家族と話してみたい」「家でも一緒に新聞を読んでみたい」などの感想が上がった。

 今年2月の5年生の参観日では、写真説明を伏せた報道写真を観察し、何の写真かを推理する「フォトランゲージ」に挑戦。

 議論を通じ「大人と子どもでは考え方が違う」「大人は経験が多いと思った」など、親の知らない一面を知った児童もいた。

 ▼話題、興味広がる
 子どもたちが気になる記事を切り抜いて張り、感想を書く「NIEノート」に、保護者も同じ記事を読んだ感想を書き込む取り組みも年間を通じて展開した。

 四季の草花を紹介するミニコーナーを取り上げた男子児童の保護者は、「(息子が)このコーナーの愛読者だったとは意外だった」。世界最小のハッチョウトンボの記事を取り上げた親子は、一緒に図鑑を調べ、「来待にもいるのでは…」とさらに興味が広がったようだった。

 担当する伊藤雅美教諭は「各家庭の事情に合わせながら、新聞を通し、親子で共通の話題を持つきっかけづくりをしていきたい」と話している。

わがまち新聞コンクールで優秀賞を受賞した「きまち太古新聞」(右)と「来待新聞」
 県NIE新聞コンクール優秀賞に2作品
 「『矛盾だらけの不思議な生き物』がいた!」

 来待小6年の永原賢造君が、昨年制作した「きまち太古新聞」のトップニュースの見出しだ。

 地元の特産・来待石採石場から見つかった水陸両生の哺乳(ほにゅう)動物「パレオパラドキシア」の正体を取材、記事化した。パレオパラドキシアはラテン語で「矛盾だらけの不思議な生き物」との意味という。見出しはその言葉をうまく活用した労作。

 同小は昨年、1年間のNIEの取り組みを生かし、県NIE推進協議会の「わがまち新聞コンクール」に挑戦した。

 夏休みの課題として、5年生のクラス全員が参加。個人2作品、グループ7作品を出品した。

 制作期間は夏休み。個人、グループごとに、テーマや用紙サイズなどを決め、町の人や名物などの中からネタを探して取材、字数制限に悩みながら記事を書き、レイアウトも手掛けた。

 永原君の新聞と、煎沢菜子さん、秋広楓さん、高木美有紀さん、須田莉沙子さんのグループが来待石と地域のタケノコ掘り名人を取り上げた「来待新聞」が優秀賞を受賞した。

 大人もうなるような憎い見出しや、写真や図、色やレイアウトにも工夫がみられ、NIE活動の成果が見えた。また、新聞作りを通じて、自ら考えて行動すること、友人と協力し合うことの大切さ、地域住民との触れ合いなどの経験も積んだ。

 2年間のNIE活動を振り返って
  来待小学校・伊藤雅美教諭「学習ネタの宝庫」実感

 2年前にNIE活動を始めたころ、子どもたちにとって新聞は難しく、遠い存在という実態がありました。

 そこでまず、「新聞に親しむ」をテーマに、学校で、家庭で、新聞を手に取って読む機会をできるだけ多く設けるように心掛けました。四コマ漫画、投書、コラム、社説、写真や見出しを利用した活動など、多様なパターンを展開し、子どもたちの新聞に対する関心を高めました。

 活動を継続するうち、子どもに新聞を読む習慣がついてきました。「ファミリーフォーカス」を通して保護者から活動への理解をいただいたことも助けになりました。

 新聞は、学習のネタの宝庫です。私自身、取り組む前より関心が深まりました。今後の課題は、特定の学年だけになっている取り組みを、他学年にも広げていくこと。

 一昨年から、養護教諭が健康にまつわる記事にコメントをつけて保健室前に掲示するNIEコーナーができました。こうした取り組みを含め、教員にも活動を広めていきたいと考えています。

 子どもたちに対しては、新聞を通して社会に目を向け、より多面的なものの見方ができるような学習活動を展開していきたいと考えています。

2006年4月30日 無断転載禁止

こども新聞