新興国戦略車、インドで苦戦 安さだけで消費者つかめず

インドの首都ニューデリー近郊で開かれたモーターショーに出展されたマルチ・スズキの「NEXA」シリーズのスポーツタイプ多目的車=2月(共同)
 【ニューデリー共同】インドの自動車市場で日系を中心としたメーカー各社が、機能を削った低価格の新興国向け戦略車の販売に苦戦している。新興国であっても低価格車はステータスシンボルとはなっておらず、安さだけで消費者をつかむのは難しいためだ。他の新興国の経済が減速する中、インドは景気が堅調で販売への期待が高かっただけに、各社は頭を抱えている。

 2009年の発売当時、世界最安とされた地場メーカー、タタ自動車の「ナノ」はピーク時に平均月6千台以上売れていたが、今年1月は約1600台。現在の価格は20万ルピー(約34万円)から。これまでに大きなモデルチェンジを2回実施したものの、勢いを取り戻せていない。

 ブランドを復活させ、価格を抑えた日産自動車の「ダットサン」シリーズ(価格は32万ルピーから)も振るわない。関係者によると、販売実績は月千台程度。2車種しか品ぞろえがなく、専門販売店が約40店と少ないことも足かせだ。

 トヨタ自動車の「エティオス」シリーズ(同約50万ルピーから)も不振。棚田京一常務役員は「当初の期待ほど売れなかったのは事実」と話す。完全子会社化するダイハツ工業との連携を視野に、中小型車戦略を練り直し中だ。

 原因はさまざま。インド自動車雑誌の編集者は「安さだけをアピールすると、車を持つ喜びを実感してもらえない」と指摘。地元紙ビジネス・スタンダードは「小さくて安い車は過当競争に陥っている」と伝えた。

 一方で、インド自動車最大手スズキの子会社マルチ・スズキは高級感のある内装に仕上げた商品ライン「NEXA(ネクサ)」を昨年から展開。現在約100ある専門販売店の数を来年3月までに2倍にする方針だ。

共同通信社 2016年3月4日 無断転載禁止