日系保険、アジアに挑む 市場に可能性、競争激化

インド・ムンバイにある第一生命保険のインド合弁生保で開かれた日本人とインド人の社員による企画会議=1月(共同)
 【ムンバイ共同】保険の国内市場が頭打ちになる中、日本の保険会社が成長を求めてアジア進出を加速させている。保険の普及度が低いアジアは市場として大きな可能性を秘めるが、もしもの時に備える商品への理解度は高くない。日系企業ならではの強みを打ち出せるかがビジネス拡大の鍵となりそうだ。

 「インドでは有事に備え換金性が高い金や宝石を貯蔵するのが一般的だが、保険に頼ってもらうよう変えたい」。第一生命保険が出資するインド合弁生保の山口仁史副社長は話す。インドでは公的な社会保障が国民の数%にしか行き届いておらず、銀行口座の普及率も5割程度。行政や金融機関への信頼度は低い。

 同社は契約者の信頼を得るため、保険金支払いなどアフターケアを重視。顧客と継続的な関係を築こうと、日本の「生保レディー」のような営業職員による販売網を強化する方針だ。

 ドイツ保険大手アリアンツによると、アジアの保険市場の平均成長率は、2002~14年は年6・6%だった。一方、日本市場はほぼ横ばいだ。かつて6割近くあったアジア市場に占める割合は4割未満に縮小し、日本市場の存在感は相対的に低下している。

 このため、日本の保険各社はアジア進出を活発化させている。日本生命保険はインドやインドネシアの生保に出資。太陽生命保険はミャンマーに事務所を置き、参入機会をうかがう。損害保険大手もアジアでは本業の損保に加え、利幅が大きい生保に続々と参入する。

 ただ、100年以上の歴史がある日本市場と勝手が違うことも多い。東南アジアの合弁生保に出向する日系幹部は「所得格差が大きく、(顧客ターゲットとしたい)中間層がまだ少ない。富裕層でも、万一の時に備える保険を買ってもらえない」と話す。また、早くから事業展開する欧米系や地場の保険会社との競争も激しい。

 第一生命のアジア太平洋地域統括会社の川原則光社長は「保険の普及率が低く、売りっぱなしだった市場が変化しつつある。教育を通じ、営業職員や代理店のサービスの質を上げていく」と話した。

共同通信社 2016年3月4日 無断転載禁止