中国空母2隻に/増強の狙い説明すべきだ

 中国初の国産空母が遼寧省大連市で進水した。旧ソ連製を改修し、2012年に就役した空母「遼寧」と合わせ2隻態勢となる。「海洋強国」を目標に掲げる中国は将来、動力の原子力化や装備の向上を図り、4隻以上の空母保有を目指しているといわれる。

 中国の強引な海洋進出は東・南シナ海で日本や東南アジア諸国連合(ASEAN)各国との摩擦を引き起こしており、離れた敵地への攻撃を担う空母の増強は一層の警戒を呼んでいる。中国は海軍力増強の狙いや、一方で主張する平和主義といかにして両立させるのかを、国際社会にきちんと説明していくべきだ。

 13年11月から大連市で建造中だった国産空母は、試験航行や離着艦訓練を経て20年ごろの就役を目指すとみられる。進水式には軍制服組トップの范長龍・共産党中央軍事委副主席が出席。国営通信の新華社は「わが国の空母の自主設計と建造で大きな成果を上げた」と意義を強調した。

 新空母の基本構造は遼寧と同じで、離艦する艦載機を打ち出すカタパルトは装備しておらず、艦載機は船首部分に傾斜を付けた甲板からスキージャンプ式で離艦する。排水量は約5万トンで、遼寧より少し小さい。

 中国は今年に入って南部戦区司令官に海軍出身者を抜てきし、海南省トップの党委員会書記に元国家海洋局長を充てるなど南シナ海を管轄する軍や地方政府へのてこ入れを進めてきた。

 台湾紙によると、新空母は「山東」と名付けられ、北部戦区の山東省青島を母港とする可能性があるという。青島に配備されていた遼寧が南部戦区に移るか注目される。

 遼寧は昨年末、初めて西太平洋に進出、今年初めには南シナ海で艦載機の離着艦訓練を行って台湾を周回し、軍事プレゼンスを誇示した。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所によると、昨年の中国の軍事費は米国に次ぐ世界2位で、25兆円を超える。中国政府が発表した約16兆5千億円と比べ、約5割多い。同研究所が中国の「隠れ予算」を推定し、修正した。台湾当局は、中国の軍事費には装備の研究開発費や輸入費、武器輸出の収益などが計上されておらず、実態は公表値の2~3倍と推測している。中国は国防予算の透明化を図るべきだ。

 軍の内部資料によれば、海軍幹部は空母艦隊や潜水艦発射弾道ミサイル、大型強襲揚陸艦を増強し、太平洋やインド洋まで勢力を広げるべきだと主張。上海でカタパルト装備の国産空母を建造中とも伝えられ、習近平国家主席は「戦えば勝てる軍」を目指し大規模な軍事改革を進める。

 一方、中国は平和主義を掲げ、軍備は自衛のためと説明してきた。習氏は現代版シルクロード構想「一帯一路」を提唱して周辺国との良好な関係づくりも訴える。

 党中央軍事委主席として軍のトップを兼ねる習氏が文民統制(シビリアンコントロール)で軍部を抑制し、平和主義を貫けるのか、手腕を問われている。

 アジアの安全保障について、日中のほかASEANや米ロ、オーストラリア、インドも交えて協議する多国間の枠組みを整えたい。中国はそうした場で、どんな大国を目指すのか明らかにすべきだ。

2017年4月28日 無断転載禁止