今村復興相辞任/おごりと緩みがなかったか

 今村雅弘復興相が、東日本大震災の被害に関し「まだ東北で良かった」と被災者を傷つける発言をした責任を取って、辞任した。

 今村氏は今月初め、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者の帰還について「本人の責任」と言い、批判を浴び、発言撤回と謝罪をしたばかりだ。憂慮すべき事態、としか言いようがない。

 安倍晋三首相は「任命責任は首相である私にある」と述べたが、加えて不適切な発言の再発を止められなかった監督責任も大きい。

 安倍政権の閣僚ら自民党幹部の言動には、批判が相次いでいる。国会では稲田朋美防衛相の答弁や、「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案審議での金田勝年法相の迷走が政治問題化した。

 外国人観光客への対応を巡って「がんは学芸員」とした山本幸三地方創生担当相の発言や、政務官の不祥事が続いたことについて世論調査では7割以上が政権に「緩みが出ていると思う」と回答している。緊張感を取り戻し政権運営に当たらなければならない。

 安倍首相は政権復帰直後の2013年は国会での演説で「福島、東北の復興なくして日本の再生はない」と強調していた。しかし、その後は大震災発生日に近い日程で行われる自民党大会でのあいさつで述べるにとどまっている。

 政権発足後の衆参両院選挙で自民党の大勝利が続き、安倍政権全体におごりと緩みが生じる中で、大震災の復興に対する安倍政権の姿勢が生み出した失言ではないか。

 今村氏の発言は25日、東京都内で開かれた派閥パーティーで飛び出した。この場で講演した、今村氏は大震災で生じた被害額に触れ「これがまだ東北で、あっちの方だったから良かったけど、もっと首都圏に近かったりすると莫大(ばくだい)な、甚大な被害があったと思っている」と語った。

 最初に批判を浴びた自主避難者の帰還に関する4日の発言を数日後に撤回、「(自主避難者が)いろいろな状況を勘案しながら自らの判断でやっているとの趣旨だったが、『自己責任』という言葉で誤解を与えた。意図するところと誤った伝わり方をし、反省している」と述べてから、3週間もたたない中の失言だった。

 安倍首相は被災地の視察を重ねているが、政権全体としては被災地に対する無神経な言動は目に余る。務台俊介前内閣府政務官は大震災6年直前の3月8日、自身の政治資金パーティーで、岩手県の台風被害の被災地を昨年9月に視察した際、長靴を持参せず、職員に背負われて水たまりを渡った対応に関し「たぶん長靴業界は、だいぶもうかったんじゃないか」と発言、辞任した。

 被災地の問題に限らなければ中川俊直衆院議員が週刊誌に女性問題を報じられ経済産業政務官を辞任している。他にもフェイスブック(FB)上での不用意な発言など脇が甘いと言わざるを得ないケースが目立つ。

 安倍首相は一連の不適切な言動について「(政権に)緩みがあるとの指摘を真摯(しんし)に受け止めなければならない」と述べたが、国民の多様な声に耳を傾けた政権運営が求められている。

2017年4月27日 無断転載禁止