レッツ連歌(下房桃菴)・4月27日付

挿絵・Azu
◎トンネルを通り抜けてくリニアカー

安来津和野をただ一時間    (益田)石川アキオ

◎学校の認可三日で下りました

新入生はメダカヒメダカ    (浜田)知音士醍部

◎今日もついボクはスマホにのめり込み

告った返事なかなかもらえず  (益田)細谷  耕

◎桐箪笥(きりだんす)持ってきたまま蔵の中

殿に内緒の鏡一枚       (出雲)行長 好友

◎ママのよりうまいと子らと目配せし

月一回はバアちゃんが来る   (飯南)塩田美代子

◎脈々とDNAは引き継がれ

石見神楽にスサノオは生き   (松江)花井 寛子

お囃子(はやし)聞けばさっと泣きやみ  (出雲)野村たまえ

◎ホッとしたとたんに腰が痛くなり

預かった孫親に返して     (出雲)原  陽子

◎許せないミニスカートに網タイツ

同行二人四国路の旅      (浜田)三隅  彰

逆セクハラで訴えてやる    (松江)土江 ユミ

◎だれ一人作品ほめてくれもせず

三日坊主がなにか始めた    (松江)庄司  豊

ノートぎっしりボツになった句 (益田)竹内 良子

来る客来る客みなド素人    (松江)福間 芳枝

危惧を覚える文化水準     (松江)田中 堂太

死後日の目見た天才もあり   (松江)三島 啓克

◎なにごともなかったような顔をして

三年間の単身生活       (浜田)松井 鏡子

上司と部下の社内恋愛     (浜田)勝田  艶

探偵雇い報告を待つ      (出雲)熱田熊四郎

夫の浮気笑う大物       (松江)相見 哲雄

炎の中で信長は舞う      (松江)森廣 典子

数を頼んだ軽い答弁      (松江)岩田 正之

◎夜明け前やっと卒論できあがり

自家用ジェットスタンバイする (松江)高木 酔子

◎イノシシは日に何回も往復し

耕運機よりいい仕事する    (江津)岡本美津子

◎出雲弁よせて話せる五か国語

うちの両親ともにハーフで   (松江)持田 高行

◎お辞儀する角度は今も三十度

高値のついたブリキ人形    (江津)花田 美昭

京の実家の社家のならわし   (出雲)矢田カズエ

◎駅前に横断幕が張り出され

健闘むなしく初戦敗退     (浜田)放ヒサユキ

湖畔の町に停(と)まる瑞風     (松江)森  笑子

存続の文字雨風に耐え     (雲南)錦織 博子

                ◇

 耕さんの「告(こく)る」は若者ことば。意味は「告白する」と同じだけれど、それよりずっと気楽な使いかたをするようです。その軽さが、前句の「スマホ」によくマッチしました。

 ユミさんの句の「訴えてやる」と怒っているのはだれでしょう。弘法大師かしら?

 良子さんは、人に認められぬ不満と、自分の才能に対する不安とが半々に混ざり合った、われわれ同様、愛すべき「凡人」。いっぽう堂太さんは、憎たらしいほど自信満々で、その分、憤懣(ふんまん)やるかたなきご風情。そこをじっと耐えているのが啓克さん?

 江戸時代の川柳に、「その手代その下女昼は物言はず」(誹風柳多留(はいふうやなぎだる)・初編)という名句があります。艶さんの句を見て思い出しました。これも今でいえば、立派な「社内恋愛」ですね。

 卒論の締め切りというのは厳しいもので、病気や事故で提出が遅れても、言い訳はできないことになっております。もっとも、大学側もイキなもので、時計の針を5時5分前で止めておくほどの雅量は、昔は持ち合わせておりました。今は知りません。

               ◇

 次の前句は、きょうの入選句の中から、みなさんご自身でお選びください。付句は五七五になります。

(島根大学名誉教授)

2017年4月27日 無断転載禁止

こども新聞