お得感で選んでは

 島根に住むべきか東京に住むべきか、それが問題だ-島根県が若者向けに定住を呼び掛けるため、作成したパンフレットにこんな言葉が載っている。シェークスピア悲劇の主人公ハムレットの台詞(せりふ)を借りながら、島根県と東京の暮らしぶりを比較した▼大学を卒業した20代から定年退職を迎える60歳までどちらで暮らした方が得かを試算。退職金を含めた世帯別収入では3800万円東京が上回るが、その間の生活費を差し引いて手元に残る資金は、東京900万円に対し島根県1700万円▼現役時代を通じて入るお金と出ていくオカネの差である生涯収支は島根に軍配が上がり、その差は老後の蓄えにもつながる。生活費の差は大きく都心でマンションを購入すれば駐車場代だけで月5万円。島根ではアパートが借りられる▼島根の最大の売りはやはり暮らしのゆとり。現役世代の1日の自由時間は東京の2倍、余暇に費やす時間は日本一。朝は自宅を出て東京の半分の時間で職場に着き、1時間半早く帰宅できる▼通勤ラッシュから解放され、日が長くなれば帰宅した後犬を連れて散歩もできる。時間をぜいたくに使えるプレミアムライフ(質の高い生活)は東京では得難い▼ハムレットの有名な台詞は「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」と訳されることが多いが、いろんな解釈があるそうだ。大学進学者のうち8割以上が県外に出て行く島根の若者。出た後「帰るべきか帰らざるべきか、それが問題」なら、お得感で選ぶ道もある。(前)

2017年4月28日 無断転載禁止