仕事みてある記 遭難者の命助け 海の安全守る 

「一人でも多くの命を助けたい」。万一の事故に備え、真剣な表情で潜水作業に必要な器具を点検する山下剛さん=境港市昭和町、巡視船「おき」の救難準備室
 海上保安官

   山下 剛(やました ごう)さん (境港市昭和町)


 「一人でも多く遭難者(そうなんしゃ)の命を救いたい」。境港(さかいみなと)市昭和(しょうわ)町、境海上保安部所属(ほあんぶしょぞく)の巡視(じゅんし)船「おき」に乗り組む海上保安官で、潜水士(せんすいし)の資格(しかく)を持つ山下剛(やましたごう)さん(30)は、海難事故(かいなんじこ)の際(さい)、海にもぐって救出・捜索(そうさく)する活動をメインに、海の安全を守る仕事に情熱(じょうねつ)をそそいでいます。

 同保安部が担当(たんとう)する兵庫(ひょうご)・鳥取県境(けんきょう)から出雲(いずも)市沖(おき)の海域(かいいき)で海難事故が発生すると、118番通報(つうほう)などを受けて一報が入ります。船の転覆(てんぷく)、沈没(ちんぼつ)、乗り上げ…。一般(いっぱん)の巡視船での対応(たいおう)が難(むずか)しい場合は、潜水士6人が配属(はいぞく)されている「おき」が緊急(きんきゅう)出動します。現場海域や水深などを確(たし)かめ、次々と入る情報(じょうほう)を元に、救助や捜索の活動内容(ないよう)を打ち合わせ、必要な資機材(しきざい)を準備(じゅんび)します。

 現場に到着(とうちゃく)すると、ウエットスーツ姿(すがた)で空気ボンベを背負(せお)い、足ビレやシュノーケルを身に着け海中へ。事故は海が荒(あ)れている時に起きがち。刻々(こくこく)と変わる波や風、潮(しお)の流れに瞬時(しゅんじ)に対応する判断(はんだん)力が求められ、自分や仲間の命も守らなくてはなりません。「無事(ぶじ)に家族の元に返してあげたい」との強い思いが厳(きび)しい作業を支(ささ)え、遭難者を救助すると体を温め、ヘリや救急車に引き継(つ)ぎます。

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 兵庫県姫路(ひめじ)市出身。「人を助ける仕事がしたい」と、海で遭難した人を潜水作業によって助ける海上保安官を目指しました。21歳(さい)の時、海上保安学校(京都府舞鶴(まいづる)市)に入校、船舶運航(せんぱくうんこう)システム課程(かてい)の機関コースで1年間学んだ後、同保安部の「おき」に配属。全国の海上保安官から選ばれて厳しい潜水研修(けんしゅう)を受け、念願(ねんがん)の潜水士の業務(ぎょうむ)に就(つ)きました。

 「もっと力をつければ助けられる人が多くなるはず」と、ランニング、筋力(きんりょく)トレーニング、水泳などで体を鍛(きた)え、救急救命知識(ちしき)の吸収(きゅうしゅう)に一生懸命(けんめい)取り組んでいます。

 日ごろは隠岐(おき)島周辺で潜水、船舶事故を想定した救助やヘリを使った遭難者つり上げなどの訓練(くんれん)を積みます。密漁(みつりょう)や密航、密輸(ゆ)に目を光らせ、油の排出(はいしゅつ)やごみ投棄(とうき)の監視(かんし)・取り締(し)まり、船舶火災時には消火に当たり、島根原発周辺などの警備(けいび)も。海上犯罪(はんざい)やテロの防止(ぼうし)、美しい海を守る幅(はば)広い業務を担(にな)っています。

 大型連休の最中、海もレジャーシーズンです。「事故に遭(あ)わないよう楽しんでほしい。万一の時は118番通報してください」と呼(よ)びかけています。

★メッセージ

 夢(ゆめ)や目標に向かって今できる努力をしてほしい。失敗や挫折(ざせつ)もあるけれど、簡単(かんたん)にはあきらめないで。がんばって達成したときの姿をイメージすると、やる気につながります。また、困(こま)っている人には優(やさ)しくする気持ちを、ぜひ持ってほしいですね。

2017年5月3日 無断転載禁止

こども新聞