イブのいない楽園

 ゴルフ発祥の地、英スコットランドのセントアンドルーズクラブは260年にわたって女性会員を認めず、21世紀に入り性差別の批判を受け、2014年に女性会員を受け入れた▼とは、教科書的説明。セントアンドルーズには1867年、女性専用コースとクラブが誕生していた。諸説あるがゴルフは黎明(れいめい)期から男女や年齢、身分に拘(こだわ)らない面があり、体力・飛距離に差のある男女が別々に集うことは自然の成り行き。性差別とは無関係だ▼一方、ゴルフクラブという愛好家の根城は1744年のエディンバラに古い記録がある。女房、子どもがコースを後にした夕方、居酒屋にたむろした男共が結成し、女房の目が届かない空間を「イブのいない楽園」と呼んだそうだ▼英国のゴルフ文化が伝わった日本で最近、2020年東京五輪のゴルフ会場、霞ケ関CC(埼玉県)が女性正会員を受け入れていないと問題視され規約の改定に至ったが、エディンバラの先達だったらどう裁定しただろう▼同CCには女性会員もいて門戸は開放していた。同時に、厳格な規則、身だしなみや立ち振る舞いに品位を求め、そぐわない者には退会を求める正会員制の伝統を、男子のたしなみを学ぶ場として守ってきたのでは▼女性限定の「アダムのいない楽園」もあって良いわけだし、少しおおらかになれないものか。スポーツの近代化は否定しないが、「紳士のスポーツ」としての良さや「たしなみの文化」を残すことも、失いたくない一つの価値感だと思うのだが。(裕)

2017年5月6日 無断転載禁止