教育魅力化

 島根県教委が中山間地の高校などを対象に推進している教育の魅力化事業について「今後の県立高校の在り方検討委員会」で白熱した議論が戦わされた。「高校の魅力化で定住推進を図ろうとしても双方には距離がある」と委員の泉雄二郎前松江北高校長が批判的な意見を述べた▼地域の特色や課題解決などを学習する高校の魅力化事業。若者の定住などを狙いとする意義は否定しないが、その前に伝統的な教科型学力を保証していくことの方が重要ではないかと指摘した。教科の学力が十分育っていないのに、教育の魅力化を叫んでも地に足が着いていないという▼これに私立開星高校の大多和聡宏校長が反論。「高校の魅力化は保護者にもアピールしている。子どもを島根の学校に通わせたいと思わせるような魅力づくりが定住に必要だ」と県外にも目を向けた魅力化発信を求めた▼県外から生徒を呼び寄せることを目指した高校魅力化事業は2011年度にスタート。直前の10年度54人だった県外中学からの入学者は16年度184人と3倍以上に増えている。生徒確保に危機感を抱いた各高校が市町村と連携して県外募集をかけた結果、右肩上がりの実績▼教育魅力化といえば学力向上を想像しがちだ。客観的で目に見えやすく進学実績にもつながる。しかし生徒や保護者の価値観は多様化しているようだ▼地域に出向いて住民と話し合うなど体験型学習と既存の教科学力の相性はどうなのか。双方の擦り合わせが新しい学力を育てるかもしれない。(前)

2017年5月9日 無断転載禁止