山口元監督の涙と大山合宿地構想

 その人は涙を流していた。全国高校ラグビー大会で4度の優勝を誇る京都・伏見工高ラグビー部の山口良治元監督。3月、学校統合に伴い、教え子と一緒に母校の土のグラウンドに別れを惜しむ姿を新聞紙上で見つけ、16年前のことを思い出した▼駆け出し記者の頃、大山で山口氏を取材した。地元旅館が中心となり、「東の菅平、西の大山」を合い言葉に大山を全国屈指のスポーツ合宿地にしようと、同校ラグビー部を誘致。雄大な自然の中、部員80人が伸び伸び練習し、旅館で疲れを癒やした▼取材した夜、山口氏と杯を交わす機会に恵まれた。目をじっと見つめ、時折涙を浮かべながら、スポーツが地域活性化につながることを熱っぽく話してくれた▼大山については「素晴らしい自然があり、環境は申し分ない」と太鼓判を押した。とっとりコンベンションビューローによると、2016年度は関西圏を中心に46団体5375人が訪れた▼アジア初開催となる19年ラグビーW杯日本大会の組み合わせが10日に決まり、4年に1度の祭典に向け準備が加速する。翌年には東京五輪・パラリンピックが控え、この好機を地方でも生かさない手はない▼中海・宍道湖・大山圏域では県境を越えて地方創生の取り組みが進む。施設整備の課題もあろうが、大山をスポーツ合宿の聖地として売り出し、圏域全体に恩恵が届く仕掛けができないか。スポーツを核に国内外から人々が集う光景、熱血指導する「泣き虫先生」の姿をもう一度大山で見たい。(添)

2017年5月15日 無断転載禁止