中国の一帯一路/戦略的な参加も検討を

 中国が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」をテーマにした国際会議が北京で開かれ、習近平国家主席は開幕式の演説で「平和協力と相互利益」の重要性を強調した。

 一帯一路は中国から欧州までを陸と海のルートで結ぶ地域のインフラを整備し、経済圏を形成する構想。習氏が2013年に提唱し、国家ファンド「シルクロード基金」などを設立して準備を進めてきた。会議にはロシアのプーチン大統領ら29カ国の首脳を含む約130カ国の代表が参加、構想への支持を示した。

 日本も「中国主導だから」と後ろ向きにならず、長期的な国益や経済のグローバル化を考慮し、シルクロードの東端国として、積極的に参加する戦略も検討すべきだ。

 一帯一路は、米国に次ぐ世界第2の経済大国となった中国が「次の一手」として、国際社会で影響力の拡大を図る戦略的な経済・外交構想で、習氏が国家目標に掲げる「中国の夢」(中華民族の偉大な復興)の実現に向けたステップだ。

 習氏は演説で「中国は平和共存5原則を基礎に一帯一路参加国との友好協力を発展させる」と平和主義を強調する一方、「多国間貿易体制を維持し、自由貿易圏の建設を推進しなければならない」と保護主義に傾くトランプ米政権をけん制した。

 習氏はまた、シルクロード基金への増資や政府系銀行を通じた融資などで総額7800億元(約12兆8千億円)を拠出する方針を表明した。

 15年末、中国はインフラ投資の資金源となるアジアインフラ投資銀行(AIIB)を発足させた。同銀行の加盟国・地域数は計77に増え、日米主導のアジア開発銀行(ADB)の67カ国・地域を大きく上回った。

 日本はAIIBの組織運営や融資の審査体制への不安を理由に、米国と共に参加を見送ったが、最近、安倍政権内で参加論が再浮上してきた。背景には、乗り遅れへの危機感や、中国への歩み寄りで関係改善を模索する意図があるようだ。

 AIIBについては、中国が、政治的に対立する国に差別的な待遇を行うなどの恣意(しい)的な運営を行わないか、などの懸念がある。日本は戦略的な思考の下、中国の懐に入り、公平なガバナンスを促すべきではないか。

 今会議に出席した自民党の二階俊博幹事長はAIIB加盟に前向きな姿勢を示している。二階氏は「中国の底力を世界各国に示す意味で大成功だったと思う」と会議を高く評価。一方で「国際社会全体が(利益を)享受できるようにすべきだ」として、一帯一路が世界に開かれたものであるよう訴えた。

 日中両国は東・南シナ海での対立などでぎくしゃくした関係を続けているが、大局的な見地に立って関係改善に踏み出すべきだ。併せて日本は一帯一路やAIIBへの積極参加を考える必要がある。

 中国の強引な海洋進出には懸念が残るが、一帯一路は、中国が公約通りに平和主義を貫かなければ実現できない。日本は中国と信頼関係を築き、対話を通じて中国を覇権主義ではなく、平和主義へ誘導していくべきではないか。今こそ冷静で戦略的な対中政策が求められている。

2017年5月17日 無断転載禁止