女子ログ 初心忘れるべからず

 大学生の娘が帰省した際、仮免許の練習をしたいと言うので、助手席で彼女の運転を見守った。そんなにゆっくり走っては迷惑と思わず声が出る。交差点でもそんなに直角に曲がらなくても。バック駐車はこの角度で。しかし、彼女はことごとく教習所で習っているのとは違うと反論してくる。そうか。長年の運転で勝手に交通ルールも脳内で書き換えてしまっていたのだ。

 別の日、日帰り温泉の脱衣所でのこと。間もなく五十路(いそじ)とはいえ、恥じらいつつの脱衣中、背中に熱い視線を感じた。恐る恐る振り返ると80代くらいの女性がほほ笑みながらじっと見つめ、「その下着、かわいいわね。どちらでお買い求め?」とおもむろに質問される。それほどかわいいものでもなかったが、その女性の年齢からすると、新鮮だったのかもしれない。その女性はきちんとお化粧をし、ピンクのズボンをお召しになっていた。いくつになっても女性としての身だしなみを忘れずかわいらしくいようとすることをすでに忘れかけていた自分に気付いた。

 勝手にここまで育ったような振る舞いで知らない間にいい大人になってしまい、初心を忘れていることに驚く出来事が続いた。ここまで大きくしてくれた親に感謝せねば。そして、思うだけでなく、感謝をちゃんと伝えていこう。それこそ初心忘れるべからず。

 (浜田市・風田凪子)

2017年5月17日 無断転載禁止