顕彰像

 鳥取県内では境港市の水木しげるロードのリニューアル計画があり、市出身の漫画家・故水木しげるさんの作品にちなむ妖怪ブロンズ像が増えるという。北栄町では町出身の漫画家・青山剛昌さんの人気作のキャラクター像がある町内の散策を促そうと複合商業施設がオープンした▼鳥取県には漫画キャラクター像が目立つ。対照的に島根県には郷土の偉人など実在人物の顕彰像が多い印象。松江市は県庁周辺を見渡しただけで首相・若槻礼次郎、日本近代スポーツの父・岸清一、松江藩主・松平直政、松江開府の祖・堀尾吉晴と4体▼浜田市は像の数はさほどでないかもしれないが、天然痘ワクチンを開発した英国の医学者エドワード・ジェンナーの像があるのが興味深い。浜田と直接ゆかりはないのに、業績に感動した住民らが建てたと聞く。浜田へ赴任した当時、よそ者の身ながら地域に溶け込めたことも相まって、人を大事にする町だと好感を抱いた▼一方、鳥取市では、県知事や自治大臣を務めた石破二朗の像が圧倒的な存在感を放つほか、羽柴秀吉と戦った鳥取城の主将・吉川経家の像が知られる▼米子市は、皆生温泉開発の祖・有本松太郎の胸像しか思い浮かばない。反骨心が強く、新しい物好きとされる市民気質の表れなのかもしれない。地域性が出ているようで面白い▼権力者の顕彰像に親近感が湧かない人もあるだろうが、硬い像からでも、先人の歩みを知り、人材が育つ面もあろう。歴史に学び未来を築く鳥取県であってほしい。(志)

2017年5月18日 無断転載禁止