島根と台湾結ぶ酒造り 陳韋仁さん自ら田植え

「台中65号」の苗を手に、台湾と島根をつなぐ日本酒造りへの意気込みを語る陳韋仁さん=松江市古曽志町
 台湾出身で李白酒造(松江市石橋町)に蔵人として在籍する陳韋仁さん(36)=松江市菅田町=が、島根と台湾にゆかりのあるコメ「台中65号」を使った初めての日本酒造りを計画している。かつて台湾で広く栽培されたうるち米に、島根県産品種のルーツがあることを知り「台湾と島根、先人たちの歴史をつなぐ日本酒を造りたい」と決意。市内の水田でこのほど、田植えをし、収穫した米で今冬、仕込みに臨む。

 陳さんは島根大に留学中、偶然飲んだ日本酒のおいしさにほれ込み、日本酒「獺祭(だっさい)」で知られる山口県岩国市の旭酒造の社長に手紙を書いて入社を直訴。蔵人として2シーズン勤めた後、2015年9月から李白酒造に在籍している。

 台中65号は、安来市原産品種「亀治」と兵庫県産の酒造好適米「神力」の交配で1920年代に誕生し、台湾の水稲栽培の基礎を築いた品種。当時、高収量で味も良く、台湾で40年代に水稲の約8割を占めていたとされる。

 陳さんは昨年、別件の資料調査の過程でルーツを知り、種を保有する沖縄県の農家から取り寄せた。

 田植えは約7アールの水田で、酒蔵や島根大の元先輩らの協力で実施した。収穫量や味などは未知数だが「やってみなければ分からない。タンパク質が少なく、酒に向いているかもしれない」を期待を寄せる。

 収穫後の酒造りは12月に移籍する木次酒造(雲南市木次町木次)で行い、来春の完成を目指す。「台湾人の蔵人は日本で唯一。その自分が最初から最後まで手掛ける初めての日本酒は、台湾と島根につながりのある米でやりたい」と決意をみなぎらせている。

2017年5月18日 無断転載禁止

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