女子ログ 魚屋のおじちゃん

 私が小さい頃から毎週月曜日と木曜日は「魚屋さんが来る日」だ。昼食を食べていると呼び鈴が鳴り、「こんちは~魚屋です」とおじちゃんの声がする。外には移動販売車が待っている。「今日は何がある?」「カンパチがええよ」「こりゃどうして食べるん?」「刺し身もええし、アラは煮つけにしてみんさい」などと会話をしながら新鮮な魚を買う。

 スーパーの魚の方が多少安いが、鮮度や種類、おじちゃんの人柄、会話などを加味すると、やはり魚屋さんだ。さらに、おじちゃんの奥さんが調理したアジの南蛮漬けが格別においしかった。おかげでわが家は昔からよく魚を食べた。

 私は魚がさばけなかったが、近頃は練習のために、さばいていない魚を買うようにしている。魚によってさばき方に違いがあり、買うたびにおじちゃんがこつを教えてくれる。おかげで少しずつ上達しているように思う。

 先日、いつものように呼び鈴が鳴った。しかし様子が違う。「もうたたむことにしたんじゃ」とおじちゃん。私は驚いて一気に寂しさが募り、涙をこらえた。平成元年に始めたという魚屋さん。近頃は仕入れる市場の魚も減って、移動販売車の調子も悪いそうだ。おじちゃんは寂しそうだったが、29年間早朝から市場に通い魚屋を続けたおじちゃんはかっこよく見えた。

(島根県津和野町・たまこ)

2017年5月19日 無断転載禁止