薄気味悪い監視社会が到来してしまう?

 薄暗い部屋に画面が並び、映し出される街角や駅構内の様子。不審な言動をぶさにチェックする。織田裕二さん演じる刑事を主人公にしたドラマ「踊る大捜査線」の映画第2作(2003年)の一場面だ▼物語上の話だった監視社会が現実になるのか。犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案を巡り、国会でつばぜり合いが続く。野党は法相の不信任決議案を提出するなど手を変えて対抗。地元国会議員からは「会期延長は避けられない」との見方も出る▼是非は別として、監視社会をつくるのは簡単だ。誰もがスマートフォンを持ち、インターネットは生活の一部。メールやソーシャル・ネットワーキング・サービスで膨大な情報がやりとりされる▼人でなくとも、人工知能を使えば不審な言動を探ることが可能だろう。以前、スマートフォンの位置を探知・追跡する浮気防止アプリが登場し物議を醸した。悪事を働かせないため、監視は確かに有効な手段だ▼法改正の理由として、2020年の東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策強化がある。各国の選手と観客が集う平和の祭典を標的にさせてはならず、国際組織犯罪防止条約の締結は急務だ▼ただ、捜査対象に入らないとされる一般人と組織的犯罪集団の線引きはいまだ曖昧なまま。メールや電話も見られている不安がある。犯罪抑止が成功しても、そんな薄気味悪さがついて回るとすればなんとも生きづらい。(築)

2017年5月23日 無断転載禁止