レッツ連歌(下房桃菴)・5月25日付


(挿絵・Azu)
◎上司と部下の社内恋愛

同僚の祝辞が長い披露宴    (出雲)石飛 富夫

ボス猿のニラミひとつでチャラになり

               (松江)田中 堂太

◎うちの両親ともにハーフで

親戚をめぐって地球一回り   (松江)川津  蛙

◎殿に内緒の鏡一枚

二階からお軽が試すイナバウアー(益田)石田 三章

◎探偵雇い報告を待つ

ミサイルの発射はきょうはありません

               (松江)山﨑まるむ

◎高値のついたブリキ人形

カチャカチャとうるさいだけのタンバリン

               (浜田)滝本 洋子

捨てられぬ困ったジジの大勝利 (松江)佐々木滋子

返してと言われぬ先に売り飛ばし(松江)水野貴美子

からくりの山車街中を練り歩き

            (石川・金沢)松川 杏花

◎危惧を覚える文化水準

大臣の一語一句が軽すぎて   (松江)佐々木郁雄

◎お囃子(はやし)聞けばさっと泣きやみ

お神楽の恵比須(えびす)大黒飴(あめ)を撒(ま)き  (松江)石川  倫

◎自家用ジェットスタンバイする

週末を過ごすハワイの別荘地  (松江)庄司  豊

はじめてのおつかい海外渡航編 (益田)黒田ひかり

◎月一回はバアちゃんが来る

そば食っておんなじ話して帰り (出雲)矢田カズエ

おみやげの本の感想書かされて (江津)花田 美昭

ター坊とまだ呼ばれてるお父さん(松江)土江 ユミ

◎炎の中で信長は舞う

秀吉は心の中で高笑い     (浜田)知音士醍部

末裔(まつえい)は氷の上を飛び跳ねて   (出雲)行長 好友

◎三日坊主がなにか始めた

CMは陰の努力は見せず痩(や)せ  (益田)可部 章二

◎京の実家の社家のならわし

ニッポンを見たい異国の客が増え(松江)岩田 正之

魔除(まよ)けとて女装をさせる三歳児 (益田)石川アキオ

◎健闘むなしく初戦敗退

大将が得意の押しをうっちゃられ(松江)澄川 克治

◎耕運機よりいい仕事する

棚田には牛の姿がよく似合い  (飯南)塩田美代子

◎数を頼んだ軽い答弁

被災者に寄り添うポーズだけの人(松江)加茂 京子

◎三年間の単身生活

店出せるほど腕上げた磯料理  (松江)高木 酔子

◎湖畔の町に停まる瑞風

子や孫に背中押されてフルムーン(浜田)勝田  艶

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 イナバウアーか。なるほどねェ。舞台は祇園一力茶屋。

 好友さんの句は、前句の「炎」と付句の「氷」と、みごとな対照。これもよく思いつかれました。

 「ポーズだけの人」は困ったものですが、そもそも任命権者のお好きな「寄り添う」ということば自体、私はちょっと違和感を覚えます。何様だと思っておいでなのでしょう。

         ◇

 今度は、きょうの入選句から前句を選んで、七七の句(短句)を付けてください。

 第555回は「ゴーゴーゴー」というわけで、紙面もいつもよりワイドに取って、これまでにない趣向も試してみたいと、秘かに考えております。ただ、そのためには、お一人お一人から、ふだんの倍くらいの作品をお寄せいただかねばなりません。よろしくご協力たまわりますよう、お願い申しあげます。

         ◇

 6月スペシャルの前句は、

  名前も知らずに友達となる

 こちらの付句は五七五(長句)です。

(島根大学名誉教授)

2017年5月25日 無断転載禁止

こども新聞