OPEC減産/先行きは不透明感が残る

 石油輸出国機構(OPEC)はウィーンで定時総会を開き、6月末までを予定していた減産を2018年3月までさらに9カ月延長することに合意した。高止まりする在庫の削減と、原油価格の底上げにつなげるのが狙いだ。

 現在実施している減産と同様に、今回の延長にはロシアをはじめとする非OPEC産油国も足並みをそろえたため、価格を下支えする効果が一定程度期待できよう。しかしこの先、協調減産参加国の思惑通りに価格が上昇基調をたどるかは予断を許さない。

 一つは、市場の一部が見込んだ減産規模の拡大が今回は見送られたからだ。結局、現行のOPECが日量約120万バレル、非加盟国が約60万バレルで計180万バレルの減産水準が維持された。もう一つは、石油価格が上向けば、減産合意に縛られない米国で新型原油シェールオイルの増産を呼び起こしかねない点だ。供給過多となれば、むしろ価格下落の恐れがある。

 実際、OPEC決定を受けた原油市況は不安を先取りする形となった。指標の一つである米国産標準油種(WTI)7月渡しは、前日比2・46ドル安の1バレル=48・90ドルと2カ月半ぶりの下げ幅で取引を終えた。

 日本は石油消費のほぼ全量を輸入に頼っており、原油価格の動向は企業活動だけでなく、ガソリン代などを通じて家計へも大きな影響を及ぼす。価格が上がり過ぎず中長期的に安定していることが望ましいが、その決定要因は一様でない。今回、減産延長が決まったものの、原油価格の先行き不透明感は依然拭えないことに留意が必要だ。

 サウジアラビアなどOPEC加盟国は昨年11月、石油価格の押し上げを目指して17年1月から半年間の減産を決定。ロシアなど非加盟産油国の賛同も取り付け、15年ぶりの協調減産が実現した。

 産油国が歩み寄った背景には一時1バレル=100ドルを超えていた価格が大幅に下落し、サウジやロシアなど国の収入を石油輸出に頼る各国の財政を直撃した点があった。しかし、協調減産で価格が持ち直したのはつかの間。足元では1バレル=50ドルを挟む一進一退と、減産参加国の期待に届かない状況が続いていた。

 水を差したのは米シェールオイルの増産である。シェール生産は技術進歩などで以前より採算性が格段に向上。石油価格がそれほど上がらずとも利益が出るようになり増産へ動いたため、OPECなど減産国の思惑が空振りする結果となった。

 シェール企業による強気の増産投資の背景にはトランプ政権におけるエネルギー産業重視の方針もあるため、シェールの増産基調は当面変わらないとみられている。

 OPECは減産により石油在庫を過去5年の平均まで縮小する目標を掲げている。しかし、シェール増産などによる需給バランスの悪化から在庫が高止まりし、国際エネルギー機関(IEA)は年内の目標達成は困難と指摘する。

 減産国とシェールの「我慢比べ」と言える状況で、OPEC議長を務めるサウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は「(次の総会がある)11月に合意を延ばすことができる」と早くも再延長を示唆する。日本もこの状況から目が離せない。

2017年5月29日 無断転載禁止