紙上講演 三菱総合研究所研究員 劉 瀟瀟氏

三菱総合研究所研究員・劉瀟瀟氏
 訪日中国人の意識と行動~山陰のインバウンド対策

   話題発信し観光客誘致を

 山陰中央新報社の米子境港政経クラブ、島根政経懇話会の定例会が25、26の両日、米子、松江両市であり、三菱総合研究所研究員の劉瀟瀟(リュウショウショウ)氏が「訪日中国人の意識と行動~山陰のインバウンド対策」と題して講演した。中国人観光客の動向を知り、日本らしさを感じられる山陰の魅力を観光客目線で発信していく重要性を強調した。要旨は次の通り。

 訪日中国人客数は雇用や所得の改善、ビザの緩和によって堅調に推移。訪日客全体の21%を占め、最多となっている。

 個人旅行が増え、特に20~30代の若い世代が日本に興味を向けている。最近のトレンドは「地方」。きれいな自然や人情、風土が魅力的な地方への関心が高まっている。店で大量に買い物する「爆買い」が一段落し、ニーズは体験型へとシフトしており、地方にとって好機となっている。

 一方、中国ではスマートフォンが普及し、食事の支払いや家事代行の依頼などをスマホで済ませる社会。このためSNSを使って観光情報を発信したり、中国人旅行客に日本での体験や感想を伝えてもらったりするのは大きな効果がある。

 中国で人気の日本のアニメ「スラムダンク」の舞台となっている鎌倉市が、聖地として人気を集めている。このようにストーリー性のある戦略でアピールし、観光客を誘致すべきだ。松江市のフォーゲルパークでペンギンが飼育員に恋をしたという話は、中国のSNSでも大きく取り上げられた。関心を引くような話題性の創出が欠かせない。

 土産品のネーミングも気にしてほしい。北海道で販売される菓子「白い恋人」は漢字が多いため何となく意味が伝わり、北海道を旅する中国人のお土産のトップ3に入っている。ただ、すべて漢字にすると日本らしさが出ず、漢字とひらがなをうまく使い分ける工夫が必要だ。

 山陰は古い神話が伝わるなどし、本当の日本を味わえる地域。自分たちの強みを分析してターゲットを明確化し、中国人目線でアプローチしてほしい。

2017年5月27日 無断転載禁止