ロボット税

 島根県産業技術センターなどが共同開発した介護訪問ロボットが実用化に向けて詰めの段階に入っている。遠隔地で家族らがパソコンを操作すれば施設内のロボットが入所者のそばに移動し、ロボットに搭載したモニターを通じてお互いの顔を見ながら話をすることができる▼そのロボットに課税すべきだとマイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏が提唱している。人工知能(AI)を搭載したロボットが普及すれば、人間の仕事が奪われるかもしれない。人間に取って代わる仕事をするロボットに税金をかけて雇用を守る狙いという▼ロボット普及の旗振り役が似合いそうなITのカリスマがそんなことをと意外な感じもするが、欧州議会にロボット税を導入する議案が提出された。結果は否決されたが、囲碁のチャンピオンを負かすようなロボットが職場に進出してくる日も遠くないという見方もある▼自動車産業を中心にロボット先進国と言われる日本でロボット税を導入すれば産業競争力が落ち、かえって失業者が増える。ロボットを狙い撃ちするように税金をかけるよりロボットには稼げるだけ稼いでもらってその収益に課税し、税収を失業した人たちの職業訓練に充てる考え方もある▼「介護現場の現実を知らない発想だ」と介護訪問ロボットの開発に携わった同センターの吉野勝美所長はロボット税に反発する▼ロボットも使い道によっていろいろあり、課税との相性もさまざま。人間の幸せの足を引っ張るような課税は逃れたい。(前)

2017年5月28日 無断転載禁止