GIに期待

 たばこをやめて一番変わったのは、においに敏感になったことだ。特産「鳥取砂丘らっきょう」が収穫期を迎えた鳥取市福部町を歩くと、ヘビースモーカーの若いころと違い、つんとした独特の香りを町のあちこちではっきり感じ取るようになった▼ただし、こちらの鼻のせいだけではない。福部産はこのところ売れ行きが良く、昨年は初めて販売高が10億円を突破。今年も高値販売を期待して農家はこれまで以上に収穫や加工に精を出す▼好調の理由は、国の地理的表示保護制度(GI)。土地に根ざした歴史のある産品の表示を国が守る仕組みだ。山陰両県からの登録は今のところ福部産だけだ▼登録商標だと、偽装表示が見つかっても、登録した方が訴訟を起こすなどして動かなければ、問題は解決しない。その点、GIは法律で罰則を明記しており、産品にお墨付きを与えた行政機関の方で取り締まってくれる。福部産は10年ほど前、他県業者による偽装表示の被害に遭った分、制度への期待は大きい▼GIへの期待はもう一つ。ブランドイメージの向上だ。登録済みの35品目には、神戸ビーフや松阪牛、夕張メロンといった人気の産品が名を連ねる。そこへの仲間入りとなれば、消費者の印象は確実に良くなる▼このため全国から申請が殺到し、手続きは遅れ気味。鳥取県では大山ブロッコリーや日南トマトなどが順番待ちだ。産地振興や農家の収入アップにつながるGIは、人口減少にあえぐ地域にとって強力な助っ人になる。(示)

2017年5月29日 無断転載禁止