言葉で年代が分かる

 「店でスパゲッティーと言ったら、娘が嫌な顔をしたのでスパゲティと言い直すと、パスタと駄目出しされた」と友人が苦笑する。ちなみにパスタは小麦粉を練って作るいわば麺類の総称。そのうち、細長く紐(ひも)状にした物がスパゲティだそうだ▼筆者など子どもの頃、マカロニの中をくりぬいた品物がスパゲティだと思い込んでいたから笑えない。学生時代もご飯物のつもりでオニオンスライスを頼み、薄切りにした玉ネギが出てきて赤面した覚えがある。地方では、まだ100円札が流通していた時代のことだ▼カレーライスかライスカレーかは、年代判別のいわば古典。ライスとは別に出すか、掛けて出すかの違いだと言われたこともあるが怪しい。ただ、ライスカレーの呼称の方が先輩とか▼ご飯で作る焼き飯と、米から調理するピラフの違いも数年前に知った。アイスクリームをジェラートと言う人々には、メリケン粉とうどん粉の違いは分かるまい、と心の中で負け惜しみを言う▼カタカナ語は特に年代が出やすい。ズックと呼んだ布靴はスニーカー、巾着をもじった商標が起源のチャックや外来のジッパーも、今はファスナーが多数派。子どもを静かにさせるとき「お口にチャック」と注意するのをよく耳にしたが、ファスナーに言い換えると何か締まらない▼そんな憎まれ口をたたくよりも、言葉遣いのアンチエイジング(抗老化)をする方が得策だとは思う。ただし肌や視力、関節と違って通信販売で手に入らないのがもどかしい。(己)

2017年6月5日 無断転載禁止