G7首脳会議/自国優先は存在意義失う

 イタリアで開かれた先進7カ国(G7)首脳会議の宣言は、テロ対策や対北朝鮮での連携を打ち出す一方、貿易分野や地球温暖化対策では対立が浮き彫りになった。

 貿易に関しては「保護主義と闘う」と明記したものの文言の調整は難航。地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の扱いを巡っては合意に至らず、米国抜きの6カ国と欧州連合(EU)で実行を目指すという異例の首脳宣言となった。

 自国の国益最優先の「米国第一主義」を掲げるトランプ大統領と、EU離脱に向かう英国のメイ首相らが初めて参加し、議論の難航は当初から予想されたが、その懸念を首脳間の討議で払拭(ふっしょく)することはできなかった。

 自由貿易と民主主義、法の支配などの価値観を共有する先進国が、世界経済問題での協調に向けて1975年に始まったサミットだが、グローバル化の反動で自国優先の動きが台頭し、その存在意義が根本から問われる事態を迎えたと言える。

 テロ対策や対北朝鮮でも重要な鍵を握る中国とロシアが参加しないG7の枠組みが、本当に有効なのかも問われよう。

 一方で新興国を加えた20カ国・地域(G20)も明確な方向性を示せていない。国際秩序が不安定化する中で、先進国首脳が連携する意義の再定義が求められている。

 今回のサミットで安倍晋三首相が目指したのは、対北朝鮮での連携の確認と、亀裂が指摘されるトランプ政権と欧州との橋渡し役を果たすことだった。

 核・ミサイル開発を続ける北朝鮮に関しては首脳宣言に「国際的な最優先事項で、新たな段階の脅威となっている」と明記。サミットに先立つトランプ氏との首脳会談でも、開発阻止に向けて圧力を強める方針を確認し、所期の目的を果たしたと言えよう。

 北朝鮮問題では中国の役割が重要なのは言うまでもない。G7の結束をどう問題解決に向けた国際的な連携につなげていくのか。その展望は描けていない。

 一方、トランプ氏の非協調性は際立っていた。貿易に関して、トランプ氏は討議の中で各国に米国製品の関税引き下げを要求するなど保護主義的な主張を展開した。

 最終的には米国が譲歩する形で「保護主義と闘う」と明記したものの、その前段に「不公正な貿易慣行に断固たる立場を取る」とのトランプ氏の主張を盛り込み、両論併記で決着した。

 「あらゆる形態の保護主義と闘う」とした昨年の伊勢志摩サミット宣言からの後退は明確になった。

 「パリ協定」を巡っては、国内産業の雇用への影響を指摘し、近く協定離脱に関して最終判断すると表明したトランプ氏を各国は説得できなかった。今後の国際的な温暖化抑制の取り組みに深刻な影響を及ぼそう。

 テロ対策では、直前に英国マンチェスターで起きた自爆テロを踏まえ、「テロと過激主義への対策は優先課題」として連携する声明を採択した。ただ移民・難民に関して宣言は「人権の確保」とともに「国境管理は主権国家の権利」と併記し、国際的な連携の難しさを浮き彫りにしたと言える。

2017年5月30日 無断転載禁止