結婚生活は長い会話である

 <結婚生活は長い会話である>。ドイツの哲学者ニーチェの格言だ。ささいなことでも夫婦間で会話があれば、愛情も信頼も強くなり、問題を抱えることも少ないという意味らしい▼顧みると反省ばかりのわが身。そんな言葉を思い出したのは、かつての部下に依頼され、今週末の披露宴で祝辞を述べることになったからだ。2カ月前に別の部下の披露宴でスピーチしたばかりながら、それほど冗舌なわけでもなく、少し気が重い▼だがそれは、ぜいたくな悩みかもしれない。国立社会保障・人口問題研究所の調査で、50歳まで一度も結婚をしたことのない人の割合を示す2015年の「生涯未婚率」は男性23・37%、女性14・06%と過去最高になった▼男性の4人に1人、女性の7人に1人は一生独身という計算。ただ結婚を否定しているわけではないようだ。同研究所が公表した別の調査では、18~34歳の未婚者のうち「いずれ結婚したい」と考えている人は男性86%、女性89%に達した▼つまり結婚したくてもできない人が増えているのだ。主因は雇用の劣化。不安定で低賃金の非正規労働者が4割近くを占め、金銭的な理由で結婚をためらう人も多い。これでは少子化の流れに歯止めはかからない▼打開策として雇用の安定や、男女とも子育てしながら働ける環境の整備など政策面の充実が必要だ。既婚者が結婚生活の素晴らしさを伝えるのも有効な手段の一つだろう。そのためには、面倒がらず夫婦間で<長い会話>を重ねることが欠かせない。(健)

2017年5月31日 無断転載禁止