石見銀山 たんけん隊 <5時間目>

 地下を掘(ほ)り進めた通路「間歩(まぶ)」を歩き、当時の採掘(さいくつ)の様子を学んださとるとしおり。2人は次に、石から銀を取り出す方法に興味(きょうみ)を持ったようだよ。

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 「灰吹法」取り入れ銀増産

 さとる 掘り出した銀を含(ふく)む石(銀鉱石(ぎんこうせき)=写真=)からどうやって銀だけを取り出したんだろう?

 先生 まずは銀鉱石を固い石の上に置いて、金づちで細かく砕(くだ)くんだ。

 さとる 必要のない部分を取り除(のぞ)くんだね。

 先生 次に栗(くり)の木で作った盆(ぼん)に砕いた石を入れて、水をためたおけの中でゆっくりふるうんだ。そうすると、土や砂(すな)よりも重い銀は盆の底にたまることになるね。

 しおり それを取り出せば銀ができるの?

 先生 ここからが肝心(かんじん)なところなんだ。そのままではまだ銀に鉄やマンガンという不要な物質(ぶっしつ)がたくさんくっついているんだよ。そこで、銀だけを取り出すために鉛(なまり)を使うんだ。

 さとる どうして鉛が必要なの?

 先生 鉛は銀と結びつきやすい性質(せいしつ)があってね。地面を深く掘って作った炉(ろ)の中へ一緒(いっしょ)に入れて燃(も)やすんだよ。そうすれば銀と鉛がくっついて、余計(よけい)なものは取り除かれるんだ。

 しおり 次は銀と鉛を離(はな)さないといけないよね。

 先生 そう。そこで新たに地面を浅(あさ)く掘って、灰(はい)を敷(し)きつめた炉を作り、そこに銀と鉛を置いて、椿(つばき)などの木を渡(わた)して濡(ぬ)れたむしろでふたするんだ。炉に風を送り出す道具「ふいご」を使って燃やすと鉛が溶(と)けてくるんだ。

 さとる それでどうなるの?

 先生 鉛は溶けると灰に吸収(きゅうしゅう)されてしまうんだ。逆(ぎゃく)に銀は灰に吸収されないから、灰の上に銀だけが残ることになる。

 しおり 工夫して銀を取り出したのね。

 先生 この方法が日本で初めて導入(どうにゅう)された高度な技術(ぎじゅつ)「灰吹法(はいふきほう)」なんだ。現地(げんち)で銀を大量に生産できるようになり、その後、灰吹法は日本各地の銀山に伝わったよ。

 さとる 石見銀山(いわみぎんざん)の製錬(せいれん)技術は最先端(さいせんたん)だったんだ。


 =もっと知りたい= 灰吹法はどこから来たの?

 石見銀山発見の8年後に朝鮮(ちょうせん)半島から伝わったとされているよ。1997年の発掘調査(はっくつちょうさ)では、灰吹法に使われた鉄鍋(てつなべ)も見つかっているんだ。当時の製錬技術(せいれんぎじゅつ)を知る貴重(きちょう)な資料(しりょう)だよ。

 ・石見銀山資料館(しりょうかん)学芸員・藤原雄高(ふじはらゆたか)

2017年5月31日 無断転載禁止

こども新聞