ドリルは先端が肝心だ

 獣医学部新設に関わる、いわゆる「加計学園問題」がもつれている。この新設計画を支える「国家戦略特区」は、過去のしがらみを断ち切る妙案のはずなのに▼過去の特区の失敗は地域を囲ってやろうとしたことにある。その反省に立ち、戦略特区は日本の将来に役立つ分野を絞り、ピンポイントで穴を開け、うまくいけばその実績をテコに穴を拡大するのが狙い▼安倍首相は成長戦略のカギは規制改革だとし、「それはドリルで岩盤規制を打ち破るようなもの」と言っていた。抵抗勢力をハンマーでぶっつぶしても改革は進まない。だからドリルの出番だと▼その大方針に乗ったのが今回の新設計画だ。口蹄(こうてい)疫(えき)や鳥インフルエンザの危機に曝(さら)されながら公務員獣医は慢性的不足、獣医学部新設は50年認められておらず、四国4県知事が設置を求めているのに進まない。関係省庁、族議員が固めた岩盤規制に穴を開けなければ、となった▼攻める内閣府と矢面に立つ文科省。「見えざる力にせかされた」と、文科省の前事務方トップが異例の発言をしたが、無理筋の話ならなぜ現役の時に言わなかったのか筋は通らない。事実は霞(かす)む「霞が関」だ▼岩盤規制を破るドリルは「先端」が大切。先端技術、先端医療、先端農業など先端に資源を集めなければ成功しない。今回その肝心なところを忘れていませんか、だ。大目的を見失い、役所のごたごたでドリルの刃折れが生じては、まだまだ残る隠れ規制の壁などに、穴を開けることなどできないだろう。(裕)

2017年6月2日 無断転載禁止