益田で米教授が都茂鉱山調査 守護大名大内氏との関わり探る

中世日本の銅の製錬技術を解明するため、都茂鉱山の遺構を視察するトーマス・コンラン教授(右)
 日本中世史を専門とする米国・プリンストン大のトーマス・コンラン教授(49)が1日、益田市美都町の都茂鉱山や関連する銅精錬工房跡・大年(おおとし)ノ元遺跡などを視察した。同鉱山から産出された銅に着目し、製錬技術を解明して当時の流通貨幣の原料としての関連性などを調べ、研究対象としている中国地方の守護大名・大内氏と同鉱山の関わりを探るのが狙い。製錬過程で発生した不純物「カラミ」を持ち帰り、同大で理系研究者とともに成分分析する。

 都茂鉱山は、平安時代から開発が進められた銅山として知られる。戦国期には銀を産出し、江戸時代には幕府直轄の天領として栄えた。鉱山として発展した当時の間歩(坑道)や精錬窯跡が残っている。

 コンラン教授は2011年頃から、大内氏の経済基盤を探るため、都茂鉱山や長登銅山(山口県美祢市)の調査研究に注力。今回は、都茂鉱山から産出された銅鉱石と当時の貨幣の成分を照らし合わせ、同鉱山が果たした役割や銅の流通ルートなどを解明する。

 この日は、山神大切(さんじんおおぎり)坑跡や旧安養寺、間歩跡といった鉱山の遺構、鉱山の下流域にある大年ノ元遺跡を視察。地元住民から、1987年まで操業していた歴史や、間歩の保全に努めている活動などの説明を受けた。同町都茂の市美都総合支所に移動後は、同遺跡で発見された市保有のカラミを確認し、16世紀以前にできた6点を受け取った。

 視察後、コンラン教授は「仮に、カラミと当時の貨幣の成分が一致すれば、時の権力者との関係や銅の流通経路が分かる。貴重な史料として分析したい」と話した。

2017年6月2日 無断転載禁止