里親という選択肢

 何がきっかけになるか分からないものだなと、出雲市で先日あった中国地区里親大会で思った。島根県内の40代の夫婦は、家を新築するために交渉した地主がたまたま里親経験者だった▼里親制度を知らなかったが、子どもがいなかったこともあって里親登録し、昨夏に4歳の女児を迎えた。今は子どもがいない生活は考えられないと言い、「娘は最近、大きくなったらお母ちゃんみたいになりたいと言ってくれる」と笑顔で話した▼里親は、さまざまな事情で親元を離れて暮らす18歳までの子どもを養育する。親元で暮らせない子どもは全国に約4万6千人いるが、多くが施設や乳児院で暮らし、里親への委託率は2015年末で16%にとどまる▼里親への委託は実親の同意が必要で、親権を取られるとの誤解があり、敬遠されるのが一因。障害があったり虐待を受けていたりなど配慮が必要な子どもが増え、里親とのマッチングが難しいケースが多くなった背景もある▼04年に非行の問題や障害があるなど特別に支援が必要な子どもを受け入れる専門里親の制度ができた。専門里親になるには3年以上の里親の経験が必要で、大会では里親制度への理解を広め、登録者を増やしたい関係者の強い思いが伝わった▼周知が進まないのは、自身を含め自分は無関係と思う人が多いからではないか。子育ては地域の支えがあってこそ。里親にならなくても、里親家庭の悩みや喜びを職場や地域で共有することはできる。まずは知ることを一歩としたい。(衣)

2017年6月4日 無断転載禁止