アキのKEIルポ2017 勝ってなお厳しく自戒

 「トップ選手に値しないようなミスがすごく多かった」

 コッキナキス戦後に発した錦織のこの言葉が、ふと、懐かしい日を想起させた。あれは今から7年前――。

 その時も、ローランギャロスの1番コートで試合を終えた彼は、会見室の椅子に厳しい表情で座っていた。

 「すごく差を感じた。トップの選手と100位台の選手の試合」

 当時の錦織は、肘の手術から復帰したばかりの246位。対戦し敗れた相手は、当時3位のジョコビッチ。彼我の戦力差を痛みとともに受け入れ、自身の地位を客観視しながら、当時20歳の彼は決意を秘めた瞳で虚空をにらんでいた。

 月日は流れ、今錦織はトッププレーヤーとして、肩の手術から帰ってきた21歳のコッキナキスの前に立ちはだかった。

 善戦するも敗れたコッキナキスは「僕のプレーはふがいなく、圭は大切なところでレベルを上げてきた」と口の端に悔いを浮べる。そんな一途な若者の姿が、かつての錦織と重なった。

 同時に、勝ってなお「トップ選手に値しない」と自分を戒める錦織の姿は、20歳の頃の彼と対を成すものだ。

 復帰の道を歩み出した後進に一つの指標を示しつつ、トッププレーヤーとしての自覚と責任感を胸に、彼は自らの道を歩んで行く。

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 錦織取材を続けるフリーライターの内田暁さんがパリ・ローランギャロスから報告する。

2017年6月1日 無断転載禁止