キレる高齢者

 きょう6月6日は「アンガーマネジメントの日」。怒りとの上手な付き合い方を指南する日本アンガーマネジメント協会が「ムカムカする」の語呂にちなんで制定した。怒りのピークが持続するのは6秒。一呼吸置けば、コントロールできると説く▼キレる高齢者が増えているようだ。暴行容疑で摘発された国内の高齢者は、20年前と比べて約50倍に増えている▼兵庫県では6歳児にたばこのポイ捨てを注意され、逆ギレして首を絞めたとして、島根県内ではスーパーで調味料を盗んで店員に見つかり、逃げる際に顔を殴ったとして、いずれも70代の男が逮捕された▼キレやすくなる原因の一つは、脳の機能低下とされる。前頭葉が収縮して判断力が衰え、感情の抑制が利かなくなる。特に男性はホルモンが低下し、女性の更年期に似た抑うつ症状が起きるという▼心的要因も複合的に絡み合っているだろう。長年勤めた職場を退き、他人との関わりが希薄になることで生まれる喪失感や、日々失われていく若さ。「暴走老人」を著した芥川賞作家の藤原智美さんは、キレる高齢者の認知度は広がったが、10年たっても社会的手だては進んでいないとする▼怒りを抱く行為は、何より人間である証しと周囲が懐深く受け止めたい。6秒間の過ごし方を伝えるよりも、まずは長幼の序を重んじて高齢者を敬い、声掛けやあいさつの励行から始めてはどうか。「暴走老人」予備軍のお年寄りは、節度を持った「おじいちゃん、おばあちゃん」になってくれる。(玉)

2017年6月6日 無断転載禁止