アキのKEIルポ2017 視野広く必要な物吸収

 「すごく頭の良い選手だし、良いコーチになるだろうなと思った」

 昨年のIPTL(スター選手たちによる団体戦)で、錦織がベルダスコについて口にした言葉が強く印象に残った。ベルダスコといえば、筋骨隆々の左腕から、ボールをたたきつぶすように放つフォアハンドの強打が武器。事実、昨年の全仏3回戦でも、錦織はその爆発力の前に劣勢に立たされた時間があり、フルセットの苦戦を強いられた。

 しかしそのベルダスコとダブルスを組み、共に過ごす時間の中で、彼は強打自慢と見られがちなベテランの、経験に裏打ちされた知性を知る。同時にそのような気付きは、錦織が周囲のさまざまな情報や声にアンテナを張っている証左のようにも思われた。

 マイケル・チャンとダンテ・ボッティーニの2人コーチ体制になってから、今年が4年目のシーズン。錦織は「二人は自分を磨き上げてくれる。現状に満足している」と言うも、同時に「他のコーチにアドバイスをもらうことも時々ある。いろんな人の知恵を得ながら成長している」と言った。

 視野を広く持ち、多くの声や思考と触れながら、真に必要な物を吸収する。今の彼は心の受容力を高める、そんな、もどかしくもみずみずしい季節にいる。(フリーライター・内田暁)

2017年6月6日 無断転載禁止