全仏テニス特派員便り 表れたトップ選手の自覚

ローランギャロス内にあるトーナメント表にも、3回戦の「日韓対決」が刻まれた=パリ
 3度目の全仏オープン取材で、今大会3回戦は初めて経験した「日韓対決」だった。

 21歳の新鋭は米フロリダの同じアカデミー出身でもあり、日本のメディアはあおったが、対戦を控え、錦織圭選手は「彼のような選手が出てくればアジアも盛り上がっていい」と人ごとのように話した。たたんだ両腕を会見場の机に載せ、いつものように淡々と。

 サッカーや野球ではライバル同士、意地がぶつかり盛り上がる「日韓戦」だが、プロテニス界、それも四大大会の舞台ではずいぶん趣が違うと肌で感じた。

 昨夏、錦織選手が銅メダルを獲得したリオデジャネイロ五輪後の会見で「(ツアーの)個人戦とは違った重み」とコメントしていたのを思い出した。五輪や国別対抗戦(デ杯)のような日の丸を背負った戦いと、己の存在を懸けてしのぎを削るツアーの戦いは本質として異なるようだ。

 プロ転向10年目。2014年9月から守り続ける世界トップテンの高みから見渡し、気になるのは、根拠のないライバル対決の行方ではなく、テニス界全体のこと。トップ選手の自覚の表れ、と思うと、素っ気ない会見の答えに覚えた違和感がすっと消えた。

2017年6月6日 無断転載禁止