民生委員100年

 民生委員制度は今年で創設100年の節目を迎えた。大正時代の1917年、生活に困窮する人たちのために岡山県で始まった「済世顧問制度」をルーツとし、47年からは児童委員も兼ねる▼全国23万人の民生児童委員が地域に暮らしながら、支援が必要な住民の見守り役、相談相手、専門機関へのつなぎ役として活動している。電話代などの実費は支給されるものの、無報酬のボランティアであることを思うと、その奉仕の精神と隣人愛に頭が下がる▼特に近年は少子高齢化などの進展に伴い、その役割への期待が高まっている。高齢者のみの世帯や独居の増加、特殊詐欺被害、貧困に引きこもり、子育て家庭の孤立など、暮らしに関わる問題が複雑化、多様化しているからだ▼一方で、活動の難しさも増している。地域の人々のつながりは薄れ、個人情報保護の意識も高まる中で、住民の情報が得にくくなり、思うような活動ができないと嘆く委員は多い▼そうした状況から、負担感も大きいのか、なり手は不足している。島根県では昨年12月時点で2238人の民生児童委員が活動するが、定数に34人足りない状況だ▼県民生児童委員協議会の住田達宣会長は5月の本紙で「まずは活動を知ってほしい」と訴えた。100年の歴史を持つ制度だが、十分には知られておらず、支援の活動には住民の協力が不可欠という。考えてみれば、筆者も自分の地域の委員が誰か知らない。民生児童委員について知ることはより良き地域への第一歩になる。(輔)

2017年6月7日 無断転載禁止