全仏テニス特派員便り 期待も予想も超えて

準々決勝のうち、錦織圭、アンディ・マリーの両選手を取り上げた雑誌の特集ページ。「激しい戦い」の見出しが躍る
 「正直、特にない」。そう言って浮かべた錦織圭選手の苦笑いを思い出す。2015年の全仏オープンで初めて8強入りし、記者会見で日本男子82年ぶりの快挙について問われた時のことだ。

 前年、全米オープンで既に日本勢初の四大大会決勝に進出。目指すのは前人未到の領域だから、そう言うのも分かるが、例えば、昨夏のリオデジャネイロ五輪で獲得した銅メダルが「日本勢96年ぶり」などと聞かされると、こちらは「初」とはまた違った重みを感じる。

 「ハードコートより、守備ができたりいろんな球種が使えたりして自分には合っている」と語る赤土の全仏オープンで、あれから2年たち、日本男子84年ぶりの4強入りが懸かる準々決勝。

 UN DUEL DE COSTAUDS(激しい戦い)-。会場内で無料配布されている雑誌の特集ページには、こんな見出しが躍った。記事は「調子を上げている」としてアンディ・マリー選手(英国)が優勢、と予想していた。

 何年ぶりだの初だのと周囲は期待し、予想もする。勝手に。過去の誰にもとらわれない彼は前だけを見て、期待も、予想も超えていってくれたらいい。

2017年6月8日 無断転載禁止