レッツ連歌(下房桃菴)・6月8日付


(挿絵・麦倉うさぎ)
 ホントと問えばジョーダンと逃げ

独り占めしようか迷う当たりくじ(浜田)山崎 重子

友達か友達以上か知りたくて  (出雲)野村たまえ

プロポーズ待って十年経ちました(出雲)飯塚猫の子

頭から信じるクセは直らない  (松江)川津  蛙

父さんにはぐらかされて五十年 (松江)花井 寛子

赤らめた頬に好きだと書いてある(出雲)原  陽子

喜寿を機に登ると決めたエベレスト

               (松江)岩田 正之

もう歳だこれが最後だ引退だ  (浜田)佐々木わこ

同窓会やるぞやろうと古希迎え (出雲)石飛 富夫

持ち上げて落として笑うイヤなヤツ

            (埼玉・所沢)栗田  枝

大人ってなんでこんなにズルいんや

               (益田)石田 三章

だれからも相手にされぬ人となり(浜田)滝本 洋子

心せよ言ってよいことわるいこと(川本)高砂瀬喜美

茶番でも氷を揺らすカウンター (雲南)安部 小春

今夜こそきっぱりケリをつけるとき

               (江津)花田 美昭

忖度(そんたく)をしてほしいのに気が利かぬ

             (出雲)はなやのおきな

スナックに通いつづけてはや五年

            (沖縄・石垣)多胡 克己

チーママは客あしらいもイタにつき

               (益田)可部 章二

赤ちゃんができたと娘おなか撫(な)で(益田)石川アキオ

式場とドレスはすでに予約済み (米子)佐々木浩子

金庫から突然消えた八千万   (浜田)放ヒサユキ

裏付けは取ってあるぞとカマをかけ

           (広島・北広島)堀田 卓爾

マスコミをうまく操る術覚え  (雲南)錦織 博子

漫才を見ているような二人づれ (益田)黒田ひかり

延々と続くスマホのかけ放題  (出雲)今岡久美子

レッツよりセンセが好きというウワサ

               (浜田)勝田  艶

照れんでもええがね話進めるよ (美郷)源  瞳子

あかあかと染まる宍道湖ながめつつ

            (石川・金沢)松川 杏花

         ◇

 ジョーダンと「逃げ」というのだから、本心はやっぱり「ホント」なのでしょうね。「赤らめた頬」に書いてあります。

 グラスを揺らしながら告白をするというのは、テレもあるのでしょうか。テレビドラマなんかでよくあるシーンですが。この場合、目線はしっかりグラスのほうを向いている、というのが大事なことです。それは、いつでも「ジョーダンだよ」と言い繕える身構えなのですね。ある種のズルさもあるかもしれないけれど、相手を傷つけまいとする優しさが感じられます。これが、相手の目を見つめながら、他方で氷をカチャカチャしていたのでは、気が散ってしようがない。

 小春さんの「茶番」は、はたしてどちらなのでしょう。

 もう忘れかけていたような古いことばが、最近息を吹き返しました。「忖度」! 「私の気持ち、分かってほしいの」と言えばすむところを、「忖度をしてほしい」―。なにかとむずかしげな言い回しのお好きなセンセイがたなら、おっしゃりそうなことばです。

 男女の心の機微にはあえて触れずに、ただ宍道湖の夕陽を詠んだ杏花さん。それでいて、この二人、その後どうなったのか、やっぱり妙に気になります。

         ◇

 次の前句は、

  応接室を飾るトロフィー

 「応接室に」じゃなくて「を」としたところを、ちょっと自慢していいですか。

 この句に長句(五七五)を付けてください。

(島根大学名誉教授)

2017年6月8日 無断転載禁止

こども新聞