古里で目立ちたい

 元衆院議員の岩國哲人氏は出雲市長時代、若者の大都市流出を食い止めるため「早稲田と慶応は減反すべきだ」と主張した。コメの生産量を減らす減反政策になぞらえて、早慶に象徴される大都市の大学の入学定員を減らすよう訴えた▼東京一極集中を是正するため、政府の有識者会議が東京23区で大学の定員増を認めない中間報告をまとめた。島根県を含む中国地方知事会も同様の共同アピールを採択。大学入学をきっかけとする一極集中を何とか抑えたいと地方の声が高まる▼これに対し23区内の大学側は「若者の選択肢を狭める地域鎖国」と反発。以前に比べれば、都内の大学に通う地方出身者の比率は下がっているが、少子化で定員割れが広がる大学間の学生争奪戦は激しくなっている▼そんな中で早大が地域連携を掲げる新たな入試方式を来年度から導入する。統計資料などから地域課題を見つけ出し、小論文にまとめた解決策を評価する▼東京と自分が住む地域を比較しながら、どうすれば地域を活性化できるか道筋を考えさせ、社会的活動を率いるリーダーシップも問う。従来型学力に加え、地方創生を担う実践的な人材養成が狙いという▼地方で活躍する人材を東京で育てるというメッセージ。しかし卒業後地方に帰ってこなければ育てる意味がない。有名大学が地方大学のお株を奪いにきたと警戒する向きもあるが、若者に地方について真剣に考えるきっかけを与え、学ぶほどに古里で目立ってみたくなる。そんな志が広がればいい。(前)

2017年6月9日 無断転載禁止