そろそろマグロの季節

 日本海側の巻き網船団は6、7月、クロマグロの群れを追い、佐渡島沖などに繰り出す。近海ものの水揚げ量が日本一の境港ではそろそろ初水揚げの知らせが聞こえてきそうだ。市内では、地元産を海鮮丼などで提供する店が活気づき、水木しげるロードに集まった観光客の胃袋を満たすだろう▼境港に全国各地の船が集まるのは、日本海側で最も処理体制が整うためだ。主役は大きな包丁を巧みに振るう割裁人で、船から次々と降ろされるマグロから、えらや内臓を手際よく取り除く。先進地の静岡県から学ぶなどして30年以上培った技術が、今の日本一の座を支える▼一方で乱獲による枯渇を危惧して、世界各国はクロマグロの資源管理を最大の消費国である日本に求める。日本近海を産卵場にする親魚の資源量は1990年代の6万トンから減少。2014年には1万7千トンとなり、歴史的な低水準が続く▼直径2キロ、深さ200メートルの筒状の網で魚群を捕まえる巻き網漁には、特に厳しい目が向けられる▼地元水産会社によると、漁期の終盤は規制枠を守るため、規模の大きな魚群を避けて網を入れる。餌になるイワシの数が増えつつあるとはいえ、身を切るような資源管理の努力がなければ、マグロを巡る産業は境港で続かない▼資源管理の面では同じ境港のベニズワイガニに一日の長がある。カニ加工会社の社長は、漁獲枠が決まっていては売り上げ増は難しいと、徹底した経費節減で利益を確保する。足元の取り組みに見習うべき点は多い。(示)

2017年6月10日 無断転載禁止