錦織 気持ちの強さ必要 またも「ビッグ4」の壁

テニスの全仏オープン男子シングルス準々決勝でアンディ・マリー(右)に敗れた錦織圭=7日、パリ(共同)
 またしても「ビッグ4」に行く手を阻まれた。錦織圭(日清食品)は世界ランキング1位のアンディ・マリー(英国)に敗れ、全仏オープンの挑戦は2度目の8強で止まった。春先の右手首の故障による体調面と実戦不足の不安は随所で見せる「完璧」なプレーで拭ったが、何が足りなかったのか。プロ選手、解説者らが振り返り、シーズン後半に向けた展望などを語った。


 戦術、攻めの姿勢評価 マリーとの戦い

 大会後半を迎えて調子を上げてきた世界1位を圧倒した第1セット。切れのあるプレーに、元プロで解説者の坂本真一氏は「勝てるな、と誰もが思ったはず。マリーも錦織のプレーを恐れていた」と称賛。プロ選手の鈴木貴男氏は「ストレートを多めにして攻めた」と、戦術面を含めた攻めの姿勢を評価した。

 ただ、国別対抗戦デ杯元監督、神和住純氏は「マリーはしつこく、踏ん張れる」と強調。その後、逆転を許した錦織については「ポイントが入らない時こそ、焦って決めようとせず、ストロークから粘らないといけない」とし、その差を重くみた。

 「第2セットから崩れたのはやはり体力的なもの。疲れから集中できなくなった」とみたのはフリーライターの武田薫氏。「調子も良くない中で、8強はよくやった。今季は結果が出ず暗闇の中を歩いていたが、光が見えた」とした。


 サーブと精神面に隙 見えた課題

 「怒りの感情をプレーに影響しない範囲にコントロールして戦う姿勢につなげている」。錦織との一戦で見せたマリーの強さについて、鈴木氏はこう分析した。自らのサーブ時、反則まで取られた劣勢の第2セット途中で「ちくしょう」と気持ちを盛り上げ、反撃につなげた場面などが、その表れだ。

 一方の錦織は、今大会中、いら立ち、ラケットをたたきつけて壊す場面があり、対照的だった。

 プレー面の課題はやはりサーブ。マリー戦の第2セットは第1サーブ確率27%と、隙を見せた。坂本氏は「スピードや精度は良くなっている」としつつ、トスの際、ラケットのヘッドが頭から遠い分、微妙な誤差がインパクトまでに生じるとし、安定感を求める。

 神和住氏は「『キック』するなど相手を外に追い出すサーブをもっと交ぜれば、得意のストロークが生きる」とした。


 若手台頭「正念場」に 後半展望

 「若手」の台頭-。23歳のドミニク・ティエム(オーストリア)の今大会の躍進で、その印象はさらに強まった。

 スタン・バブリンカ(スイス)を含む「ビッグ5」も健在で、うち3人が4強入り。武田氏は「若い世代が急激に力を付けており『錦織世代』は厳しい時期に入る」と指摘。神和住氏も「正念場」とみる。

 ビッグ5と若手に挟まれた「3層」の戦いの中、目の前の壁は依然高く、下からの突き上げは強烈だ。

 坂本氏は「ビッグ5も、若い時は上を見ながら下からの挑戦をはね返した」とし、一時の低迷を乗り越えて存在感を示すラファエル・ナダル(スペイン)らを引き合いに「自分のテニスを信じてやり続けることができるか」に注目。

 鈴木氏も技術は十分とし、四大大会の次戦ウィンブルドン選手権に向けては「体調の回復にも努めてほしい」と求めた。

2017年6月10日 無断転載禁止

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