特派員便り 体の強さ進化確信

準々決勝で敗れ、スタンドの声援に手を上げながら引き上げる錦織圭選手=パリ(共同)
 「2週間で戦いながら回復することができた。体が強くなっているのを感じている」。準々決勝の後の記者会見で錦織圭選手はこう語った。確信が、こちらにも感じ取れる口ぶりだった。

 振り返ると、その試合前の私は「半信半疑」だった。第1セットは圧倒的なプレーで先取。「いける」と一気に気持ちが高ぶった。第2セット以降、歯車が狂い、3セット立て続けで奪われると「やっぱり難しかったか」という思いが湧くのが分かった。

 初めて8強入りした一昨年、16強の4回戦で敗れた昨年はともに下位シードの地元選手に敗れたが、最後まで勝つと信じていた。今回の相手は第1シード。錦織選手の右手首の回復具合や開幕前週のツアー大会で戦った疲労度など体調面の不安が拭えなかったのが「半疑」の理由だ。

 関係者の取材も終え、気付くと、午後9時すぎ。残照の下、ローランギャロスを後にした。ブローニュの森のそばを通って地下鉄の駅に向かう道中、会見の言葉を思い返した。

 体が強くなっているとした錦織選手は「勝てばあと2試合あった。たぶんできている」とも言った。四大大会の準決勝と決勝をにらんでのことだ。まだ挑戦は終わっていない。長袖1枚では肌寒かったが、胸の中で何かが熱く流れた。

(おわり)

2017年6月12日 無断転載禁止

  • 47クラブ