町村総会/地方議会を考える機会に

 人口約400人で離島を除き全国最少の高知県大川村の和田知士村長が12日、村議会議員のなり手不足を理由に、議会に代わる「村総会」設置の検討を必要に応じて本格化させると正式表明した。

 自治体の総会と言われてもぴんとこないだろうが、町村は「議会を置かず、選挙権を有する者の総会を設けることができる」と地方自治法に規定されている。現在、設置町村はない。過去にも東京都の離島にあった有権者約40人の旧宇津木村(1951~55年)の例があるだけだ。

 村側は、議会の維持を前提にした住民への問題提起とするが、過疎地の多くが同じ危機感にさいなまれている中、総会をテーブルに載せるだけでもインパクトがあり、広く関心を集めている。人口減と高齢化の現実を突き付けられる地方と地方議会の在り方を改めて問う契機としたい。

 大川村は村民の約45%が65歳以上。前回村議選では定員の6人全員が無投票で再選した。平均年齢は70歳を超え、75歳以上の後期高齢者も3人いる。一部は今期限りで引退したい意向だという。

 公選法は、市町村議員の欠員が6分の1を超えた場合、補選を実施するよう規定し、次回選挙で立候補者がそろわなければ再選挙となる。

 大川村の議員報酬は月額15万5千円で県内最少であることや、公務員が兼職できない公選法の縛りなども、候補者確保のネックになっている。

 一方で、村総会に求められる成立要件や扱う案件のハードルは高い。

 準用すべき村議会の開催に必要な定足数は有権者数の2分の1。高齢化率が高く、村外の病院や老人施設で暮らす人もいる大川村で満たすのは難しい。さらに、議会に代わって予算案や条例案などを審議する以上は、村民にもそれなりの心得が求められる。

 総会運営のルールは条例で定めるが、村の事情に配慮して住民負担や扱う案件を過度に抑えれば、地方議会を「議事機関」としている憲法に反する恐れも出てくる。

 議員不足を懸念するなら、総会という窮余の策を検討する前に、候補者の発掘や適任者の説得などを優先すべきではないのか。次の村議選まではまだ2年近くある。

 2015年の統一地方選では、大川村だけでなく町村議の無投票当選が、小規模自治体を中心に2割を超えた。これらのどこの選挙で定数割れが起きてもおかしくない。人ごとではないと感じる町村は少なくないはずだ。

 それを防ぐには、立候補しやすい環境づくりが急務だ。多様な人材の参画をしやすくする夜間や休日の議会開催など柔軟な運営の工夫が求められる。国も公務員の兼職禁止について、職務専念義務などに留意しながら緩和を検討すべきだ。

 議員定数が少ない自治体にとって荒療治だが、議員を削減する手もある。定数は自治体に委ねられており下限はない。議員の待遇改善の財源確保にもつながる。ただし、一方で多様な意見の反映が課題として残る。

 町村総会を、住民の意思が行政に反映しやすい直接民主主義の絶好の機会と見る向きもあるが、模索されているのは消極的な緊急避難だ。期待される住民自治の実践の場とするのはかなり難しそうだ。

2017年6月13日 無断転載禁止